2013-11-26

寺社の装飾彫刻―近畿編 京都・滋賀・三重・和歌山・大阪・奈良・兵庫

寺社の彫刻を紹介した写真集『寺社の装飾彫刻』の近畿編。関西でもこんな超絶技巧が!

昨年、偶然手にとってみて、そのあまりの迫力に圧倒された『寺社の装飾彫刻―宮彫り‐壮麗なる超絶技巧を訪ねて』(紹介記事)。江戸時代から神社仏閣の建築装飾として取り入れられるようになった、華やかな「建築彫刻」を集めた渋い写真集ですが、それが好評だったのか、関東編×2冊、中部編に続いて、いよいよ関西編が発売になりました。

社寺の建築彫刻は、時代的なこともあって関東にもっともすごい物が集まっているため、関西編はやや地味な印象も受けますが、比較的近い場所に、これまで注目もしなかった建築彫刻があることに気付かされて、これはこれで面白いですね。


説明文:「奈良・京都を中心に伝統と由緒ある寺社が集まる近畿地方。安土・桃山時代と江戸時代の傑作が共存する京都・滋賀・三重・和歌山・大阪・奈良・兵庫の100寺社。知られざる江戸彫物大工たちの壮麗なる超絶技巧を再発見!!」


この手の建築彫刻は、日光東照宮が造営された江戸初期にピークを迎え、華やかな色彩が用いられるようになり、後の時代には素木の物が増えるのだとか。歴史ある社寺が多い関西では、関東ほどの広まりはなかったものの、丹波の中井家という職人一家の作品が多数遺されているのだそうです。

なお、奈良の社寺の紹介は少なめですが、香芝市・阿日寺本堂の欄間、五條市・落杣御霊神社の華やかな社殿のほか、吉野水分神社、惣社水分神社、金峯山寺などが紹介されています。落杣御霊神社は、つい最近になって彩色保存修理が行われたばかりで、精密な彫刻に鮮やかな色彩が見られるようですので、ぜひお詣りしておきたいですね。

また、個人的なメモになりますが、和歌山市大川の「大川八幡神社本殿」。向拝の雲龍の彫刻が、木鼻部分が龍の前半分で、虹梁側は雲に隠れているという、他ではあまり見られないデザインになっています。これは見てみたいと思います!

奈良県内ではあまり見かけませんが、和歌山や大阪では華やかな建築装飾が見つかる可能性が高いですから、この本をきっかけに着目してみるといいですね。


『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より


【寺社の装飾彫刻―近畿編 京都・滋賀・三重・和歌山・大阪・奈良・兵庫】の関連記事

  • 『鳥居大図鑑』~全国57の美しい鳥居、変わった鳥居を紹介。観察・分類することの楽しさよ!~
  • 『教えて、お坊さん! 「さとり」ってなんですか』~キーワードは「さとり」。仏教の教えの奥深さと包容力が感じられる良書~
  • 『源信さん 浄土教の祖』~当麻出身の源信の絵詞伝が絵本に。奈良博の特別展の予習用にいいかも~
  • 『天平期の僧侶と天皇―僧道鏡試論』~悪評が伝わる「道鏡」について、鑑真や良弁、行基ら奈良仏教史から考察した一冊~
  • 『百寺巡礼 第一巻 奈良 (講談社文庫)』~作家・五木寛之さんの名シリーズ。奈良の古刹で色んな思いを馳せられます~
  • 『ボクは坊さん。』~映画化された若いお坊さんのエッセイ本。初々しく新鮮。良書です!~
  • 『身体と心が美しくなる禅の作法―だれでもできる一日一禅』~初心者向けの座禅入門本。栗山千明さんが登場したり、わかりやすく柔らかい内容です~
  • 『アマテラス―最高神の知られざる秘史 (学研新書)』~古代から近代まで、最高神アマテラス祀られ方や性格の変貌ぶりを追った一冊。面白い!~
  • 『霊能動物館』~社寺に祀られる動物たちをオカルト的・民俗学的に考察。知らない歴史がいっぱいで面白い!~
  • 『京都・奈良ご朱印めぐり旅乙女の寺社案内』~御朱印の掲載点数は少なめですが、参拝ガイドとして便利。お寺巡り初心者さんに役立つ一冊~
  • 『体を使って心をおさめる 修験道入門 (集英社新書)』~金峯山寺・田中執行長が「修験道」を分かりやすく解説した一冊。一気に読了しました!~
  • 『山伏ノート ~自然と人をつなぐ知恵を武器に~ (生きる技術! 叢書)』~山伏になって聖なる山へ入ることで見つけたこと、感じたこと。色々と考えさせられます~


  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ