2013-10-09

白隠 (別冊太陽 日本のこころ)

数多くのヘタウマな素朴絵を遺した江戸時代の禅僧。パワフルな書もすごい!圧倒されます

江戸時代中期に誕生し、臨済宗中興の祖と呼ばれた禅僧・白隠慧鶴(はくいんえかく)。宗教家として優れていただけではなく、膨大な著作と、現存するだけで1万点を超えるとされる禅画と書を遺した方でもあります。駿河の小さな寺に生まれ住し、職業画家とは一線を画した独自のテイストの作品を作り続けました。

2012年末から、東京で大規模な「白隠展」が催されていましたが、本書はそれに合わせて発売されたものです。個人的には『日本の素朴絵』(紹介記事)という、いわゆる日本画のヘタ絵を集めた本を読んだ際に、白隠もそこで扱われていたため興味を持ち、手にとってみましたが、ヘタや上手を超越したパワフルな個性を感じました。


説明文:「臨済宗中興の祖であり気魄溢れる禅画を描いた白隠。多彩な書画に込められた意味を解説するとともに、名僧の言葉や健康法を紹介する。」


江戸時代に停滞していた臨済宗ですが、白隠は全国を行脚し、説法と禅画、そして公案(禅問答)をもって布教を行ったそうです。作品を売ることを目的としていないため、望まれればさっと書くことも多く、勢いのある筆使いの大胆な作品が多数遺されました。また、有名な「両手を叩けば音がある。では片手の音はどうか」という隻手(せきしゅ)の禅問答も、白隠が考えたものなのだそうです。

白隠が描いたものは、達磨がもっとも多く、祖師・釈迦・文殊・観音・福の神・流行神・地獄・鉄棒・円相など。いかにも禅画らしい画題ですが、ここに賛(言葉)が入り、ひとつの作品となっています。じっくりと観てみると、下書きの線とは大きく違ったところを塗ったりと、とんでもないことになっているんですが、それも味なんでしょうね。不思議な魅力が感じられました。

また、書も素晴らしいんですね。墨の太い線で大胆に描かれた文字は、堂々と何かを主張するかのようで、逆に何も語っていないようにも思えてきます。不思議な感想を抱かせる書でした。

本書では、白隠の生い立ちから代表的な作品の紹介、その評価など、トータル的に観られます。禅の教えや禅画について私はほとんど知識がありませんので、すべてが理解できたわけではありませんが、その世界の入り口くらいは覗けたと思います。


『<$MTEntryTitle$>』より

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