2012-08-01
日本の神々 (とんぼの本)
日本人と神々との関わりを、神像・風景・神饌の3項目から見た興味深い一冊
日本人と「神さま」との間柄を、いくつかのアングルから切り取った「とんぼの本」シリーズの一冊。1996年の「芸術新潮」555号記念号の内容を再編集したもです。
冒頭から60ページ近くにわたって「神像」がビジュアルメインで特集されていて、『神像の美―すがたなきものの、かたち。 (別冊太陽)』に次ぐレベルの充実度。貴重な神像の数々が、美しい写真に簡単な解説付きで紹介されています。仏像とはまた違ったお姿で、気品高さが伝わってきますので、神像の入門書としてもいいですね。
続いて、「神々の風景」と題して、古くから日本人が「神がおわすところ」と感じた岬・山・磐座・樹・滝などの風景や場所について観ていきます。いずれも険しくて巨大で神々しい、まさに自然を象徴するような場所であり、日本人的なマインドからするといかにもそれっぽいところに思えます。
最後は、「神饌-神さまの食卓」として、神さまのための御馳走である神饌(しんせん)を多数紹介しています。カラフルに飾りつけたものが多く、素材は米や野菜、獣などさまざま。一貫性があるうようで無いような、日本人らしい神への捧げ物ですね。
全体的にとても興味深い内容で、神さまの性格を解説したり宗派に分けたり…といったアプローチではないので、私は新鮮に楽しめました。なお、著者名の筆頭に白洲正子さんの名前があがっていますが、冒頭の1ページ分しか書いていらっしゃいませんので、その点だけは注意が必要かもしれません(笑)