2017-02-14

ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)

地方で居場所を見つけようとする若者たちの姿。いろんな気付きがある一冊でした

ソーシャル&エコ・マガジン『ソトコト』の編集長さんが語った、新たなまちづくり。取材で出会った若者たちの活動を中心に、まちおこしに取り組む地元の人々の成功例などを紹介し、現状をリアルに描き出しています。

これまで、地方出身・地方在住の私などは、そのフィロソフィがどうもしっくりこない部分もあったのですが、本書を読んであれこれお腑に落ちました。



お金でもキャリアでもない。生きる手ごたえと確かなつながりで、地域をリアルに盛り上げる若きローカルヒーローたち!

「豊かな社会」の尺度が変わる、若者が主役の新しいまちづくりとは?
人口増加や経済効果重視の観光化ではなく、若い世代が中心になったユニークな活動で、全国の注目を集める地域がある。
未来への手ごたえを感じ、仲間を巻き込みながら、地元の底力を引き出す秘訣はなんなのか。「若者」×「ローカル」に学ぶ経済+暮らしのヒントを、月刊『ソトコト』編集長が語る。

「内容紹介」より


●第1章 ローカルに価値を見出す若者たち
●第2章 関係人口を増やす
パーリー建築(新潟県十日町市他)/ペンターン女子(宮城県気仙沼市)/『四国食べる通信』編集長 ポン真鍋(香川県小豆島・高松市)/下田写真部(静岡県下田市)/たからさがし。(熊本拠点)
●第3章 未来をつくる手ごたえ
いとしまシェアハウス 畠山千春(福岡県糸島市)/十日町市地域おこし実行委員会 多田朋孔(新潟県十日町市)/巡の環 阿部裕志(島根県海士町)/幸田直人(鳥取県三朝町)/まちの鍛冶屋さん 秋田和良(広島県安芸太田町)
●第4章 自分ごととして楽しむ
nanoda代表 山田崇(長野県塩尻市)/桃色ウサヒ 佐藤恒平(山形県朝日町)/シマネプロモーション 三浦大紀(島根県浜田市)/伝承野菜農家 佐藤春樹(山形県真室川町)
●第5章 地域の未来をみんなでつくる など


ほぼ完全に個人的な偏見ですが、雑誌『ソトコト』的なものが苦手でした。数年前までの「ロハスピープルのための快適生活マガジン」がテーマだったときもそうですが、東日本大震災を経て、「ソーシャル&エコ・マガジン」へと移行した現在も、どうも違和感が消えませんでした。

田舎産まれ田舎育ちの私などがぱらぱらっと斜め読みした範疇では、「地方でカフェばっかり作ってるけど、それって必要なの?」とか、「田舎は職がないぞ?生活していける?」とか、どうしても思ってしまいます。

……という中高年の視点を尻目に、本書ではこうした難題を軽々とクリアしていった若者たちが紹介されています。

目も見張るような活躍をしていて、地域の中心人物になっている人もいれば、地方へ移った若者の中には「それで数年後は大丈夫なの?」と心配になる人もいます。

しかし、よく考えてみれば、私たちの若い頃には「とにかく都会へ出たい」と、熱に浮かされたのと変わらないのかもしれません。田舎にはないものがそこにはあると信じていましたから。いまの若い方たちは、それとは逆に都会から地方を目指しているだけのことです。「都会では手に入らないものが地方で見つかる」ということに気づき始めています。

地方でしか手に入らないものとは、本書では「居場所探し」と表現されていたりします。かつての若者は「自分探し」に熱中したものですが、現在は自分が手応えや実感を得ながら生活できる居場所を探している。とても納得のできる考え方ですね。

将来的に……とか、長い目でみてどうのこうのとか、そういった視点にとらわれない若者は、自分の探していたものが見つかりそうな場所を目指すだけで、それが現在はローカルにあるのかもしれません。

……と、いろいろと腑に落ちたのですが、それが成功するかどうかはまた別の要因が絡み合ってきます。必勝法が見るかるかどうかは別として、いろんな事例が読めて参考になるでしょう。

まとまりのない感想ですが、本書には町おこしなどに有益そうな文言もたくさん見つかりました。まとめて引用しておきます。



かつて、「面白いこと」といえば、東京にあると考えられてきました。カルチャーも人も、最先端で刺激的、憧れる要素が集まる情報発信地。ビジネスで成功したい人にとって東京は魅力的な場所で、何かに挑戦したい若者たちが東京に集まっていた時代が確かにありました。
しかし、いまは違います。過疎地といわれる場所や、山間部のほとんど知られていない土地で、知性もセンスもある若者たちがその地域を盛り上げようとしています。

(P13、第1章 ローカルに価値を見出す若者たち)

よく、若者は「自分探し」をするといわれますが、いまの若者たちは自分を探しているのではなく、自分が手ごたえや実感を得ながら暮らせる「居場所」を探しているのです。そしてその居場所は、カフェやコミュニティスペースではなく、「地域」です。 若い人たちの間で、日本のローカルが注目されるようになったのは、彼らが「居場所」としての地域を探しているから。そして、ローカル志向の若者たちは、地域には本当の意味での豊かな暮らしがあると感じている。彼らは誰かの価値観ではなく、自分のモノサシでその地域の“宝”を見つけられるし、見つけようとしている……。

(P39、第1章 ローカルに価値を見出す若者たち)

(ローカルに溶け込みまわりを自然と笑顔にしている女性たち)それは、彼女たちが日本のローカルを圧倒的に肯定しているからだと思います。「ない」ことを嘆くのではなく、「ある」ものの価値をより輝かせ、かけがえのない「宝物」として、僕たちに届けてくれる「たからさがし」。 彼女たちが訪れたあとの地域、そして旅先で出会った人たちの心には、「ないものねだり」から、「あるものさがし」への小さくて優しい変化が起こっているのかもしれません。

(P99、関係人口を増やす ペンターン女子(宮城県気仙沼市))

地域おこしとかまちづくりを語るとき、よく“奇跡の○○”といった表現を見かけますが、“奇跡”なんてたびたび起きるものではない。そんな事例の再現ばかり目指していては、地方は一向によくならないんじゃないか。

(P178、第4章 自分ごととして楽しむ 桃色ウサヒ 佐藤恒平(山形県朝日町))

(まちのカラーに共感する人を呼び込もう)移住や観光で人をたくさん呼びたい気持ちはわかりますが、移住はハードルが高く、観光は一過性でしかない。自分たちのまちにどんな資源があり、どんな人が関わってくれたら未来が切り拓かれていくのかを、もっと掘り下げて考えるべきだと思います、 (中略)ただ人がたくさんいることが幸せな時代は終わりました。人口が集中している東京の都市生活者がある意味、消費やノイズ、そして社会システムに囲まれすぎて、ややもすると自分の時間を割かれ、幸せではないように。

(P223、第5章 地域の未来をみんなでつくる)

などなど、いろんなことが見えてくる一冊です。興味のある方はぜひ!


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