習慣の力 The Power of Habit
日常行動の4割以上は「習慣」。膨大な研究結果から改善方法を語った良書です
人間の全行動の4割は、脳で考えることなく無意識に身体を動かす「習慣」によるものであり、このメカニズムを知ることで「良い習慣」を増やし、「悪い習慣」を減らすことができれば、人生は好転していく。
根拠のあやふやな自己啓発本とは違い、膨大な研究結果からそんな理論を導き、その方法を詳しく解説しています。全部で394ページという大ボリュームですが、個人的にとても興味深い内容で、ほぼ一気に読み通しました。面白いです!
説明文:「人間の日常行動の4割以上は「習慣」である。だから「良い習慣」を増やせば人生は劇的に改善する。」
習慣のすべては「きっかけ→ルーチン→報酬」の3つの要素から成り立っているとしています。例えば、アルコール中毒者は、毎晩のようにアルコールを摂取します。
●きっかけは「夕方になった」「仕事が終わった」「その場に自分しかいなくなった」など
●ルーチンは「お酒を飲む」
●報酬は「酔える」「飲み仲間としゃべって気晴らしできる」など
こうした悪癖は、すべて習慣によるもの。習慣化されているために、なかなかこのループから抜け出せないのだとか。何らかのきっかけで煙草が吸いたくなったり、お菓子をつまみ食いしてみたりという行為も同様で、きっかけ→ルーチン→報酬のループの結果なのだそうです。
こうした習慣を変えるには、きっかけを分析し、きっかけと報酬は変更せずにルーチンを他のものに置き換えることが重要になります。お酒を飲むことの最大の目的が「しゃべって気晴らし」であるなら、お酒を飲まない席へ行くようにしてその代替手段とします。これは実際にアルコール依存症から抜け出すことを目的とした団体が重視している手順なのだとか。
とても単純なことのようですが、これが上手くはまると、脳が自然と報酬を期待するようになり、完全に習慣化されることになります。個人的な経験からいうと、しばらくさぼったりしながらもジョンギングを細々と続けていますが、その際の報酬は「エンドルフィンの分泌」です。いまはもう走ったら脳内麻薬が分泌されるようになっていて、単純に気持ちいいんですよね。タバコを辞めるときにも運動習慣が大きな助けとなってくれました。
本書は「個人の習慣」「成功する企業の習慣」「社会の習慣」の3部構成となっていて、企業の例として最初は鳴かず飛ばずだった消臭剤ファブリーズのヒットの要因なども分析しています。
巻末には行動を習慣化するための分かりやすいガイドも掲載されていますので、より実践的に取り組めるでしょう。よい行動を習慣化することで、自然と生活は改善されていきます。この本で学んだ理論は、今後もちょくちょく思い出していきたいと思います!