路上の芸術【復刻版】
2005年のマンホール本の復刻版。鑑賞よりは、下水道やトイレの歴史の解説がメインです
最近ちょっとしたブームになりつつある「マンホールの蓋」。2005年に出版されたマンホール本が「復刻版」として再発売されるくらい話題のようです。
本書は、マンホールの蓋の美しさを愛でる……がメインというよりは、下水道やトイレの歴史の解説に力点が置かれています。『路上の芸術』というタイトルとはややイメージが違ので注意が必要です。出版社さん(ホビージャパン)のセールスの文章も、ミスリードを招く気マンマンですから、かなり印象はよくありません。
しかし、ヨーロッパや日本の都市インフラの歴史をおさらいした興味深い内容ですので、そちら方面が楽しめる方にはおすすめです。
説明文:「マンホール観察趣味の基礎テキストである“幻の書"復刻!!最近「マンホール女子」がNHK「あさイチ」で特集されるなど、TVや各種メディアで取り上げられ、ブームになりつつある「マンホール蓋観察」。一言でマンホールと言っても、誰もが目にしたことのある一般的なものから、自治体によっては芸術性の高いデザイン化された絵柄やカラフルないわゆるカラーマンホールまで、実に様々なバリエーションが存在します。本書はそんなマンホール蓋を「路上の芸術」と捉え、鑑賞の手引とともに様々な角度から考察を加えたマンホール観察趣味の基礎テキストになります。2005年に新風舎より刊行されておりましたが同社の解散により絶版となり、マンホール観察趣味の基礎テキストでありながら永らく入手困難な「幻の書」が、ついに復刻版として再刊されます! 」
本書の章立ては以下のようになっています。
●マンホールカバー・コレクション ●マンホールの蓋の発見 ●マンホールとその蓋 ●下水道の歴史 ●日本のトイレと下水道 ●近代日本の下水道 ●阪神・淡路大震災と下水道 ●現代の下水道 ●マンホールの蓋の鑑賞例
筆者さんは、大阪府太子町のマンホールの蓋に記された「和も以って尊しと為す」というデザインを観て衝撃を受け、それ以来マンホールの蓋を観てあるき、書物を研究するようになったとか。
しかし、マンホールの蓋に関しては、希少な古いものの写真が掲載されていたりしますが、決して点数は多くなく、そちら目当ての方には物足りないでしょう。
その反面、下水道の歴史や震災の際のトイレなどについてのテキストはユニークで、なかなか読み応えがあります。『水洗トイレは古代にもあった―トイレ考古学入門』(紹介記事)などと合わせて読んで欲しいですね。