英国一家、日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)
イギリス人ライター一家が日本の食を味わい尽くした100日間。話題の書だけに面白い!
イギリス人の男性ライターが、その奥さんと小さな男の子2名とともに訪日し、3ヶ月にわたって徹底的に日本の食を味わい尽くした紀行文。
それほど目立つ企画でもないのに、10万部を突破し、さらにNHK総合テレビでアニメ化までされるという話題っぷりで、「単純な日本食礼賛本か?」と身構えていたのですが、さすが面白いです!ほぼテキストのみの内容ですが、あまりこういった本を手に取らないウチの奥さんが夢中になって一気読みしていたほどでした(笑)
説明文:「市場の食堂から隠れた超名店まで、ニッポンの味を無心に求めて―東京、横浜、札幌、京都、大阪、広島、福岡、沖縄を縦横に食べ歩いた100日間。」
食エッセイとしても優れていますし、珍道中的な読み物としても完成されています。子連れでふらりと赤ちょうちんのようなお店に入ったり、高級な会席料理のお店にいってみたり、ラーメンや焼きそば、お好み焼きなどの日本のジャンクフードを平らげたり、とても楽しい旅行記になっています。
そして、素人の旅行記ではありませんので、ちゃんと必要なところへは取材に出向き(相撲部屋、辻調理師専門学校と服部栄養専門学校の校長など)、食のプロとして、また日本文化に興味を持つガイジンの視点からの疑問をぶつけるなど、純日本人とは違った視点があります。
また、東京から札幌、京都、沖縄など、日本各地へ拠点を移しながら、しっかりと食べ歩いているのもいいですね。全国の特徴的な食べ物を、イギリス人の舌で味わうとどう感じられるのか?それが小さな子供だとどうなのか?など、とても興味深いです。
文章にも、イギリス人らしい皮肉が散りばめられていたりして、とてもテンポよく読み進められます。280ページ近くある分厚い本ですが、飽きずに一気に読めますね。アニメも面白いですよ!
なお、同じ著者、出版社の『英国一家、ますます日本を食べる』という本も発売されています。
これはシリーズ続編というよりは、未収録だった章・エピローグなどを追加した「完全版」というような内容のようです。最初からこちらを手にとっても問題はなさそうですので(お値段も安いです)、覚えておくといいかもしれません。