簡単、なのに美味い! 家めしこそ、最高のごちそうである。
ジャーナリスト・佐々木俊尚さんが「食」を語る一冊。やや読みづらいですが共感できます
第一線で活躍中のジャーナリスト・佐々木俊尚さんが、「食」について書いた一冊。多忙な方だと思いますが、常に自宅で料理を作って楽しんでいらっしゃるのだとか。ちょっとイメージが違って面白いですね。
『高いスーツを着て食べに行く「美食」でもなく、味の素まみれの人工的な味の「ファスト食」でもなく、無農薬有機野菜にこだわった「自然食」でもない。洗いざらしの綿パンとシャツを着て台所に立ち、素早く手軽に、お金をかけずに健康的で美味しい料理を作ること。』
こういった主義主張であり、とてもシンプル。個人的に大いに共感できました!
説明文:「安い旬の素材をフル活用。料理は見た目が9割。タイムラインで時短。人気ジャーナリストが提案する、家庭料理革命!3ステップでつくれる、センスのいい食卓。」
●第1章 バブルを経てわかった結論。家の料理が一番の贅沢。
●第2章 道具はシンプル、食材は旬のもの。お金をかけずに、続ける方法。
●第3章 食材をまず決め、7種の味から、違うものを選ぶ。最後に調理法。
●第4章 手順も大事。さらに美味しく食べるために実践ポイント。
●第5章 ひと手間で美味しさアップ。我が家で人気のレシピのコツ。
本書の前半では、やや固めにバブル時代の食文化についての記述から始まります。また、後半の料理論にしても、ほとんど活字のみで語られていくため、解説されているお料理のイメージが浮かびにくく、やや読みづらいですね。
第3章あたりでは、具体的な献立の組み立て方について触れられます。これはとても合理的。
[1]まず最初に食材から考えるということ。[2]次に味つけを選ぶこと。[3]最後に、調理法を決めること。
たとえば、「夕ごはんに何が食べたい?」と聞かれても困ってしまいますが、その質問に「冷蔵庫に●●があるけど」と付け加えるだけで、途端にイメージしやすくなるでしょう。料理する側の方も、まずは食材から連想していくことが重要だとしています。
また、味付けは、「甘い・酸っぱい・塩味・醤油味・味噌味・クリーム味・カレー味」の7種類。それぞれ被らないように献立を考えていくと、「焼く・煮る・蒸す・炒める・和える・茹でる・揚げる」などの調理法も自然と決定していきます。とても合理的ですね。いかにも料理慣れした男性の思考方法だと思います。
最後の章では、より具体的なお料理のヒント(失敗しないカルボナーラ、焼きそばセットを美味しく食べる方法など)も掲載してありますが、これはあくまでもオマケ的なもの。
全体を通じて自宅で無理せず手早くお料理を作るポイントが散りばめられていますが、具体的な調味料の分量は書いてなかったりしますから、レシピ本としては使えません。お料理初心者の方は意味が分からずにちんぷんかんぷんでしょう。
日常的にお料理をやっている方で、「より美味しく合理的にスキルアップしたい」という方はぜひ!