2015-03-03
富本憲吉の陶磁器模様
陶芸家・富本憲吉さんの「模様」にスポットをあてた一冊。巨匠のこだわりが感じられます
奈良県の安堵町出身で、人間国宝にも認定された陶芸家・富本憲吉さんの作品の「模様」にスポットをあてて紹介した一冊。1999年の出版で、閉館となってしまった「富本憲吉記念館」が協力して作成した豪華本です。生涯、器に描く模様にこだわった富本さんだけに、素朴だったり、艶やかだったり、連続する様が美しかったり。本当にきれいです。
説明文:「近代日本の創作陶芸の先駆者・富本憲吉。風景・花・草木・人物・動物・幾何・文字などの模様を描いた陶磁器作品と、そのもとになったスケッチ・ドローイング・絵画作品を収録し、富本自身の解説を付す。」
偉大な陶芸家の作品集となると、当然ながら陶器の写真が多くなるものです。しかし、本書ではラフに描いたスケッチや、故郷・安堵町の風景を描いた作品など、絵画作品も多めに収められているのが特徴です。
また、花や草木などが美しく絵付けされたやきもの、さらにはそれを絵に描いたものなど、様々なタイプの作品が掲載されています。さまざまなパターンがあるので、見ていてまったく飽きません。
富本さんの作品に触れるのであれば『色とかたちが奏でる美 富本憲吉のやきもの (小学館アート・セレクション)』(紹介記事)という本がお勧めですが、より文様をじっくりと見たい方は本書が最適です。
もう書店などでは見かけないと思いますが、充実した大型本とは思えないような価格で中古本が手に入るようですので、興味のある方はぜひ!