京都で日本美術をみる 京都国立博物館
京博の常設展示作品を、各時代ごとに分かりやすく解説。行きたくてウズウズしますね!
新たな常設展示館「平成知新館」も完成し、ますます常設展示の厚みを増した京都国立博物館。平安時代から常に日本文化の中心地であった土地だけに、日本美術の粋に触れることができます。
本書では、京博の常設展示で観られる(展示入れ替えはありますが)作品を、各時代ごとに紹介し、見どころと見方を教えてくれる一冊。美術ライター・橋本麻里さんのご著書で、明快で理解しやすいですね。
説明文:「京都国立博物館の名品を、「京都」と「日本美術」をキーワードに、新たな視点から読み解く入門書。千年の都・京都に保存された美術品を、見て、感じて、考える楽しみが、まるごと一度に味わえます。」
本書では、縄文~奈良・平安・鎌倉・室町・桃山・江戸と、時代ごとに区切って所蔵品を解説しています。どの時代のものも、まさに教科書クラスの宝物が並んでいて、圧巻の一言ですね。
素晴らしいのは、平安や室町時代のものはもちろん、京都が繁栄する前、古代の宝物も豊富に所蔵していること。日本美術の流れを通観できるようになっています。「日本美術に触れたい」と思った方が真っ先に向かうべき場所、それが「全部ある」京博なのは間違いないでしょう。
また、私はあらゆる物事を奈良中心で観るクセがついているので、京都の歴史などには疎い点が多いのですが、この本では中世の仏教の流れだとか、東山御物(室町幕府の将軍たちが集めた宝物のこと)の解説など、個人的に知らなかったことの記述も多く、読み物としても楽しめました。
京博へ行くと、どうしても特別展の方に目が行きがちですが、このラインナップであれば常設展も観ておくべきでしょう。久々にじっくりと回りたくなりました。京都へ行く機会のある方は、この本でザッと見どころを復習しておくといいかもしれませんね。