井浦新の日曜美術館
「日曜美術館」司会者・井浦新さんが番組について語るエッセイ。番組ファンは楽しめます!
NHK「日曜美術館」の司会を務める、若手俳優・井浦新さんが、番組で取り上げた作品や撮影の裏側について語ったエッセイです。毎週楽しみに拝見している番組で、2013年に井浦さんが司会に抜擢された際には驚いたものですが、画面の中からもアート好きなことがひしひしと伝わってきて、とても好感が持てました。
本書では、好きな作品について、番組について、撮影について、飾らない言葉で語っている、とても楽しい読み物になっています。番組を観ていない方には伝わりづらいところも多いと思いますが、視聴者であれば楽しく追体験できますね。
説明文:「人気実力派俳優"井浦新"待望の初エッセイ!歴史や美術、日本の手仕事を心から愛する井浦新が、「日曜美術館」の司会体験、アートへの熱い思いや人生観を語ります。番組内では語り切れなかった思い、美術に親しむ喜びなど、 井浦氏の素顔が見える、新鮮なアートエッセイ。」
本書で取り上げられたのは、全18篇。河井寛次郎・ムンク・川合玉堂・鈴木其一・岡倉天心・高村光太郎・本阿弥光悦・植田正治・川瀬巴水・河鍋暁斎・藤城清治といった巨匠たち。そして、撮影の時まで井浦さんもご存知なかったという神田日勝・萩原英雄・朝倉文夫といった作家たち、さらに大神社展・興福寺仏頭展・正倉院展などの企画物です。
いずれも本当に楽しい放送内容でしたし、それらの裏話のようなものが聞けて、番組ファンとしては嬉しい限りですね。
番組中では、井浦さんは決して出過ぎず、一人の美術ファンに近い立場で登場していますが、その感じ方など「さすが」と思わせる点も少なくありません。本書では美術好きになったきっかけなども語られていますし(「縄文がスタート」だとか)、個人的に美術展へ行った時の見方(三周するそうです)などについての記述も面白いですね。
ただ、エッセイで触れられた作品でも、写真が掲載していないものが少なくありませんので、やや消化不良な感もありますが、番組ファンの方であれば問題なく楽しめると思います。お好きな方はぜひ!