
竹取物語: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)
池田理代子さんが古典『竹取物語』を漫画化。手堅くまとまって読みやすいです
あの「ベルばら」などを手がけた巨匠・池田理代子さんが描く古典作品『竹取物語』。小学館さんの創業90周年企画として、ベテラン漫画家さんが「マンガ古典文学シリーズ」を書き継いできており、その最終配本だとか。日本最初のSF作品というべき物語を、ほぼ忠実になぞった、とても読みやすい内容でした。
説明文:「日本の古典文学の名作を、ベテランの漫画家が原典に沿ってビジュアル化するコミック・シリーズ! 最終配本は、誰もがストーリーを知る、日本最古の物語と伝えられる『竹取物語』。『源氏物語』にも「物語の出で来はじめの祖(おや)なる竹取の翁」と出ており、成立年・作者ともに不詳。原本は存在せず、現在まで伝わっているのは後の世に書かれた物とされている。光り輝く竹の中から現れて竹取の翁夫婦に育てられたかぐや姫の物語は、後世の物語などに引用されることも多く、さまざまな口承説話や児童向けの読み物として伝えられている。いまでもアニメ・映画などジャンルを問わず取り上げられ続けるヒロインを、『ベルサイユのばら』で知られる漫画家の池田理代子が華麗に描写します。巻末寄稿:ドナルド・キーン 作品解説:関谷浩」
竹取物語は、童話「かぐや姫」として知られています。しかし、かぐや姫に求婚し、無理難題を出されて苦労する貴族たちは、その時代に実在した人物がモデルになっている(と推測されている)など、童話ほど単純なお話ではありません。
森へ行った翁が光る竹を切ったら、中から小さなかぐや姫が現れたシーンは有名ですが、その後日、もう一本の光る竹を発見し、同じように切ってみたら砂金があふれ出てきた……というエピソードがあったのは初めて知りました。意外と具体的なんですね(笑)
ちなみに、池田理代子さんの作画では、月からのお迎えのシーンに円盤型UFOが登場したりします。それ以外は、特に驚かされるようなこともなく、手堅くまとまっていますね。インパクトはありませんが、とても読みやすくなっています。
大御所漫画家さんによって日本の古典が自由に解釈されるのも楽しみですが、あまりにも自由にやられ過ぎるのも困りものですから、いい塩梅かもしれません。日本の古典を気軽に読みたい方には最適な一冊だと思います。