2012-03-25

お能の見方 (とんぼの本)

白洲正子さんがお能の見方を解説。省略と移植。幽玄の極みです

伝統芸能「能」を、実際に能の舞台を踏んだ女性作家・白洲正子さんが解説した「お能の見方」。元となる文章は、今から半世紀も前の1957年のものですが、写真などを追加してとんぼの本シリーズに再録した一冊です(それでも1993年の発行です)。

能は大和国を発祥とする芸能ですから、私はこれまで何冊か関連本を読んできました。その歴史や仕組みなどはおおまかに理解できましたが、正直なところ、能の楽しみ方・能の良さなど、全くピンときていない感がありました。しかし、白洲正子さんの分かりやすい言葉で能のエッセンスを語られた本書は、まさに「腑に落ちる」感がありました。

「舞うのにそれ(間)が必要なら、見るのにも一種の間というものがあるはずだ。この、言葉では伝えようもない或るものを、どこかでとらえて頂きたいと思うのがこの本の目的」と前書きにあります。本書では「見方」というタイトルながら、知識を詰め込むものではなく、能という芸能の魅力に気づかせてくれる、そんな内容になっています。ただただ形をしているだけで美しい「幽玄」を感じさせるのが能の世界なんですね。

今になって何故少しずつ能に心惹かれるようになってきたのか、自分自身でも疑問だったのですが、あらゆるところで「省略と移植」が行われているから、という点が大きいのだと気づきました。舞台の背後に植わっていたはずの木々は鏡板に描かれた松になり、余計な小道具・大道具は次第に排除され、工夫された末に極端なまでに単純化されています。私のような初心者にもそんな世界観の一端に気づかせてくれる、時代を超えた名著だと思います。



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