み仏の絵に近づく (美術館へ行こう)
52点の「仏画」を時代ごとに分かりやすく解説。意味や手法の違いなど参考になりました!
日本に伝わったさまざまなタイプの仏画52点を収録し、時代ごとに、どんなタイプのものが描かれたのかを解説していく一冊。1998年に出版された「美術館へ行こう」シリーズのもので、以前にSNSで「この本はいいよ」と教えていただいてすぐ購入していたのですが、ようやく読了しました。
仏画は描かれている内容自体に深い意味がありますし、手法も時代によって変化しています。そういった流れを俯瞰できるので、とても参考になりました!
説明文:「篤き信仰心と絵画的想像力の交わるところに、み仏の画像は顕現する。日本の仏画52点を集め、細部を埋め尽くす緻密な装飾を味わい、宇宙を想起させる空間構成を読み取る。巻末に美術館ガイドを収録。」
本書では、8世紀という初期の頃の作品である、ボストン美術館「法華堂根本曼荼羅図」、正倉院「墨画仏像(麻布菩薩)」から、その後の曼荼羅図・絵巻物・涅槃図・来迎図・仏単体を描いたもの・地獄草紙・経文に描かれた仏たち・山越阿弥陀・神像図、さらには白隠や狩野芳崖の絵画まで紹介されています。
時代ごとにさまざまな描かれ方があり、仏画のバリエーションを見ていくのには最適ですね。基本的に、美術館に収蔵されているものばかりが紹介されているため、実際に拝見できるのも嬉しいです。
特に興味深かったのが、奈良博「辟邪絵」(国宝)。12世紀のもので、明王像と似た姿に描かれた「天刑星」と、虫型の奇っ怪なモンスターにしか見えない「神虫」が紹介されています。どちらも古代中国から伝来した道教的な思想によるものでしょう。とても貴重な作品ですね。
大きなサイズの本ではありませんので、細部までじっくりと観るには向いていませんが、仏画の流れを観るには最適の書ですね。何度も再読したいと思います!