
2014-05-20
山口晃 大画面作品集
時間が混ざった世界を浮世絵風に描く絵師の作品集。細密描写も大判で見やすい!楽しい!
過去と未来が入り混じった不思議な世界観を、浮世絵や大和絵のようなタッチで描く、現代美術家・山口晃さんの作品集。横に広がる折込ページも多く設けられた、豪華な大型本です。人物や建築物などの細部まで徹底して精緻に描き込む画風だけに、見やすくていいですね。不思議な世界観をじっくりと観察できました!
説明文:「圧倒的超絶技巧による時空混在の洛中洛外図、新作の平等院襖絵、武者絵、素描などを収録。8年ぶり、待望の最新作品集。真骨頂の絵画表現とともに、見立て茶室のオブジェ、現代アートに警笛を鳴らす独自開催展覧会〈山愚痴屋澱エンナーレ〉まで、 山口晃の複層的思考を網羅した画期的画集。付:自作解題」
山口さんの作品というと、「洛中洛外図屏風」のような手法を取り入れた、現代と過去、そして空想の世界を混ぜあわせた作品群でしょう。幅広い範囲を俯瞰図で描き、不要なところを雲で目隠ししてしまう、独特の日本画の手法を取り入れて、東京や京都の町、または三越百貨店などを描いています。
またこれらの絵には、見えないはずの地下鉄や建物の中が断面図として描かれていて、まるで少年の頃に読んだ悪人の秘密基地の図解のよう。これがワクワクしますね!そして、そんな世界にはこれでもかというほどの人や物が書き込んであり、虫眼鏡でじっくりと見て行きたいほどです。
さらに、馬とバイクを組み合わせた不思議な乗り物だったり、電信柱をモチーフにした絵画やインスタレーション作品だったり、四天王や渡海文殊を描いた現代的な仏画だったり。独特の作風で日本のアートシーンを牽引している方の実力を、改めて再認識しました。
アートに興味が無い方にもぜひ手にとって欲しい作品です。ぜひ!