2014-05-16
もっと知りたい雪村―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
奇想の画家たちの先達となった室町後期の画家の作品集。代表作は大和文華館にあります!
室町時代後期~戦国時代にかけて活躍した水墨画家「雪村(せっそん)」(Wikipedia)の作品と生涯を、初心者にも分かりやすく伝えた一冊。近年になって、伊藤若冲・曾我蕭白など、江戸時代の「奇想の画家」たちが注目を浴びていますが、それに先んじていた偉大な作家です。
15世紀末ごろに常陸で生まれた雪村の足跡には謎が多かったのだとか。常陸・小田原・鎌倉・奥州と居場所を変え、この時代の画家としては比較的たくさんの作品が残っています。また古くから「雪舟の弟子」と言われることもあったそうですが、時代も拠点もずれており、影響は受けていたにしろ面識はなかったのではないかと考えられているそうです。
飄々とした水墨画、きっちりとした南画など、作風は変幻自在。現代の人間が観ても十分に面白く、現代人が観ても新鮮に感じられますね。
雪村の代表作といえば、この本の表紙にもなっている「呂洞賓図」(重文)でしょう。中国の仙人を描いたもので、龍の頭に乗り、遠くのもう一匹の龍と対峙して上方を仰ぎ見る姿を描いています。アングルの妙で、緊迫した場面のはずがとてもユーモラスにも感じられますね。
この作品を含む「雪村自画像」などが、奈良市・大和文華館の所蔵品となっていて、私の地元ですぐ拝見できるのもとても嬉しいですね!近いうちに拝見してきたいと思います!