超絶技巧 美術館 (BT BOOKS)
必要以上にリアル、必要以上に精緻。現代の超絶技巧アーティストを紹介した楽しい一冊
絵画・木彫・金工・漆芸・フィギュアなど、本物そっくりだったり、想像を絶する細かさだったり、まさに「超絶技巧」と呼ぶべきアート作品を、明治学院大学教授の山下裕二さんが案内する一冊。2012年10月の雜誌『美術手帖』の内容に大幅に加筆して単行本化したものです。
本書では、主に現代作家さんの作品が集められていますが、世の中にはすごいアーティストさんがたくさんいらしゃいますね。驚きの連続でした!
説明文:「日本美術が生んだ究極の技、集結!!まずは作品と出会って、「なんだこれは!」とびっくりしてください。」
本書は3章に分かれていて、「Part1 鑑賞編」では予備知識なしで作品鑑賞を、「Part2 技巧編」ではアーティストさんたちへのインタビューなど、「Part3 歴史編」では京都の美術館(清水三年坂美術館など)を訪れ、さらに超絶技巧の系譜を解説します。
私は個人的に「なんでも鑑定団」や「ぶらぶら美術・博物館」「日曜美術館」などのテレビ番組を見ていますので、安藤緑山の象牙細工や、明珍の自在置物、安本亀八の生人形など、江戸時代以降の工芸なども好んで観ています。それらの存在を知った時のインパクトはとても大きかったのですが、現代にもそれに比類するほどの方たちがいらっしゃるんですね。
本書で紹介されている中で一番驚いたのは、白黒写真と見紛うような精緻な絵を、絹に水墨で描いてしまう山口英紀さんの作品ですね。こんな手法があるのかという大きな驚きがあります。また、一木からリアリティあふれる造形物を掘り出してしまう前原冬樹さん、鹿の角と骨で精密な造形を生み出す橋本雅也さん、画超細密な絵を描く池田学さんや安藤正子さんなど、どれも衝撃的です。
また、「バガボンド」で知られる漫画家・井上雄彦さんも、アーティストとして紹介されています。もう漫画という枠組みから飛び出してしまっていますね。ファンとしては嬉しい限りです。
細かな知識が無くても、見ているだけで楽しい作品ばかりですから、ぜひ手にとってみてください!