2014-05-06

川瀬巴水木版画集

大正~昭和の「新版画」第一人者の作品集。日本各地の美しい風景を切り取っています

「新版画」の第一人者である版画家・川瀬巴水(かわせはすい。Wikipedia)の作品集。大正から昭和にかけて、衰退していた版画界に新風を巻き起こした方だけに、どれも素晴らしいですね。江戸時代の作品とはまた違った繊細さがあります。

本書では、300枚にも及ぶ作品が、大きめの図像とともに掲載されていて、とても見応えがありました。


説明文:「大正・昭和期の「新版画」を代表する画家・川瀬巴水の、「旅みやげ」「日本風景撰集」などのシリーズ作を中心として約300点オールカラーで掲載した木版画集。「新版画」とは浮世絵方式の絵師・彫師・摺師による木版画。巴水は、日本全国を旅して歩いたスケッチを元に、情感あふれる風景木版画を描いた。本書には、巴水自身による随筆や、巴水「新版画」制作工程などの貴重な資料も添付。」


川瀬巴水の作品は、本人が大の旅好きだったということもあり、日本全国(朝鮮半島にも)を写生旅行に出かけ、大量のスケッチをもとに作品を仕上げていくスタイルだったようです。奈良の東大寺二月堂、春日大社の様子なども何度か描いています。

もっとも有名なのは、「芝 増上寺」の雪景色を描いたものでしょう。どれも古き良き時代の美しい日本の風景を切り取っていますが、風景の中に自動車が描かれたり、より現代に近い風景になっています。これがまた独特でいいんですよね。雪景色や富士山、社寺などを描いても、少しずつ先人のものとは違ったテイストです。

なお、川瀬巴水は、故スティーブ・ジョブズが惚れ込み、多数作品を所蔵していたことでも名前が知られるようになりました。ジョブスファンの方もぜひその作品に触れてみてください。



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