2014-04-21
古←→今(むかしといま) 比べてわかるニッポン美術入門
伝統的な美術作品とその影響を受けた現代アート作品を並べて比較するユニークな一冊
伝統的な日本の美術作品と、大きな意味でその影響を受けた現代アート作品を並べ、日本の美術の変遷を読み解くユニークな試み。それぞれに共通する手法だったり、物の捉え方であったり、日本という土地に根ざしたアートの特徴が感じられるようになります。こじつけのようなものもありますが、刺激的で面白い内容です。
説明文:「尾形光琳←→会田誠?春信←→アラーキー?曾我蕭白←→横尾忠則?比べてみれば一目瞭然!「見立」「間」「傾/かぶき」など、ニッポン美術の「常数」から5000年のニッポン美術史をまるごと読み解く、画期的な一冊。」
おおまかに、「見立・間・傾・景・霊・戯・無」というテーマが設けられ、古典と現代の作品が対比されていきます。
狩野永徳・俵屋宗達・尾形光琳・曾我蕭白などの絵師たちから、東照宮の陽明門・豪華な大名駕籠・階段箪笥などの民具・戦国時代の変わり兜など、古典として登場するのは、ほぼ目にしたことのあるものばかりです。
それにインスパイアされたとして紹介される現代アーティストの作品たちが、またユニークで面白いですね。洛中洛外図の手法を用いた山口晃さんの作品、大胆な会田誠さんの作品たち、空也上人立像に似たヤノベケンジさんの作品など、有名な方たちはもちろん、私が名前を知らなかった方たちの作品も多数掲載されていました。
さらに、アート作品ばかりではなく、無印良品の製品だったり、アイドルが表紙を飾っていた雜誌「明星」だったり、派手な電飾で飾り立てられたデコトラだったり、アートとは無縁なものも登場します。確かにこうしたものたちも、日本の美意識を表す物であることは間違いありません。
他にはないユニークな視点が活かされた、楽しい美術書です。興味のある方はぜひ!