5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?
大きな岐路を迎えているメディア界。東洋経済オンライン編集長が語るリアルな生き残り戦略
独特の戦略で「東洋経済オンライン」をビジネス誌系サイトのトッププレイヤーに導いた編集長による、これからのメディア戦略論。新聞や雜誌などの紙媒体は、これからどうやって稼いでいくのか?どうやってマネタイズするのか?など、具体的な例を挙げて検証しています。
日本の新聞などは「宅配」が主なだけに、「年寄りしか読まない」などと揶揄されながらも、影響力を持ち続けています。しかし、そんな状態が長く続くはずがありません。部数の減少を補うために、どうやってウェブへ活路を見出すか。アメリカやイギリスなどの例を挙げて具体的に戦略が示されていますが、簡単なことではなさそうです。
説明文:「今、日本と世界のメディア界は、大きな岐路を迎えている。今後5年、メディア業界は100年に一度といってもいい激震を経験するはずだ。では、ウェブのさらなる進化などによって、メディアの形はどう変わっていくのか。ネットメディアを運営するプレーヤーの目と、業界を分析するジャーナリストの目から、「メディア新世界」の姿を予測する。」
著者さんが東洋経済オンラインの編集長になってから、「ターゲットを30代に」「速報よりもクオリティの高い第2報」などの戦略をとり、ページビューを10倍に伸ばしたのだとか。編集体制を変えたり、記者個々人の意識改革を促したりして、ものすごい実績をあげています。
そんな方が語るメディアの生き残り戦略ですから、重みがありますね。また1年後にはまったく違った様相になっていると思いますが、現在の選択肢はほぼ示唆されていると思います。
本や雜誌、新聞などを分析していますが、もっとも立場が危うそうなのは雜誌です。スマホの浸透にもっとも食われる立場で、近い将来にはさらに激減していることを予想しています。私自身、雜誌を読まなくなって久しいですが、今でも手にとっているものは本書で分析されていた「ページ数の長い特集主義」のものに限られています。短めの特集をいくつか積み重ねるようなスタイルのものはウェブに食われて淘汰されていくのでしょう。また、ファッション誌や「BRUTUS」のようなデザイン性が優れている雜誌も生き残ると断言しています。
欧米の状況なども丁寧にまとめられていますし、最後までとても興味深く読めました。ちょっとした教科書のような、現状を把握するには最適な書だと思いますので、興味のある方はぜひ!