空間快楽案内―気持ちのいい聖地 関西編
関西の50の聖地を紹介。ご利益ではなく「気持ちいいかどうか」で捉え直している良書です
関西の「気持ちのいい」聖地50ヶ所を、美しい写真とテキストで紹介した一冊。京阪神エルマガジン社の雜誌に連載されていた内容を読みやすくまとめています。
聖地を紹介する本というと、金運アップ・恋愛成就など、現世利益を煽るものが少なくありませんが、本書はまったく逆で、記述はシンプルで簡潔。素っ気なさを感じるほどですが、じっくりと落ち着いて眺められて良かったです。
説明文:「Meets Regional、L magazineの人気連載「フロム聖地」「そうだ、聖地へ行ってみよう」がパワーアップして帰ってきた!関西発! 大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・三重の癒やし空間50件を収録。関西は、奈良、京都、伊勢など、古代より信仰を集めた、聖地の集積地。喧騒を離れて心の底からリフレッシュ、そんな“気持ちのいい"スポットを紹介します。気持ちを真っさらにして、まずは行ってみる。山、川、巨石…自然の力をカラダいっぱいに感じる聖地のたび。空間快楽ユニット・フェルニッチ、待望の初著書です。」
冒頭の言葉が本書のスタイルをよく表しています。
「世界は気持ちのいい空間に満ちている。なにもそれは自然豊かで風光明媚な名所や、快適な環境が人工的に整えられた商業施設だけとは限らない。もっとも身近にある何気ない場所にも、無数の気持ちいい空間がひっそり隠れている。」
聖地という言葉はメディアに手垢まみれにされた感もありますが、それを「気持ちいいかどうか」で捉え直すことで、また違った印象がありますね。ご利益があるかどうかではなく、その場を心地よく感じられるかどうかが大切なのかもしれません。
●兵庫 生石神社・五色塚古墳・生田神社など
●滋賀 太郎坊宮・白鬚神社・竹生島など
●和歌山 熊野本宮大社旧社地・那智の滝・橋杭岩など
●三重 大丹倉・花の窟神社・徐福宮など
私の地元である奈良からは「鍋倉渓・三輪山・井光神社 奥宮跡地・龍穴神社 奥宮・旧鶴林寺 跡地・益田岩船・天乃石立神社・天河大弁財天社」が紹介されています。それなりに県内をくまなく回っているつもりでしたが、まだ行っていない場所も多いですね!
セレクトとしては、巨石を中心とした磐座信仰のものが多めです。聖地として一般的に知られているものはもちろん、「旧社地」「奥宮跡地」のようなところが取り上げられているのも特徴的です。現地に行くまでには長い石段を登らなければいけなかったり、夏は蚊や蛇が出たり、決して便利な場所にはないかもしれませんが、こうした場所を知っていると、心に余裕が生まれるかもしれませんね。
聖地という言葉が好きな方も、ネガティブなイメージを持ってしまっている方も、機会があれば手にとってみるといいでしょう。