うわさの神仏 日本闇世界めぐり (集英社文庫)
神社仏閣マニアを自認するホラー・歴史系の小説家さんによるユニークなエッセイ集
ホラー・歴史系の小説家であり、元美術館の学芸員であり、自ら「神社仏閣マニア」を自認する加門七海さんによる、ユニークなエッセイ集。軽い文体で不思議な神さま仏さまを紹介していく第一部、全国の不思議スポットを歩く第二部という構成になっています。
初出は1998年、著者さんも若かったのだと思いますが、文章が元気にはじけ気味で、やや読みづらい感はありました。しかし、知識の豊富さは十分に伝わってきますし、同じ神社仏閣好きとして、共感したり笑ったりしながら楽しめました。
説明文:「神社仏閣に行くと興奮し、オカルトや宗教の話が大~好き!という“神仏ゴシップ芸能記者”加門七海。第一部は、古事記の神々から七福神、鬼・妖怪までを大胆不敵に爼上に載せた、神仏・オカルトうわさ話。第二部は、日本全国の“祟る?”“出る?!”の現場を訪ね歩いた、肝試し、いえ、命がけの突撃ルポ。読めばあなたも神や仏と仲良しに!怖くて笑える、超異色エッセイ。」
第一部「うわさの神仏」では、酒池肉林・空の神さま・カグツチ・七福神・調伏軍団・鬼や妖怪・祟るんですなど、日本でずっと信仰されてきた神や仏をテーマに、その不思議な特色などを軽めのエッセイにして読ませています。この手の世界にそれほど詳しくない方であれば、(やや語弊はあるものの)より親近感を感じられるでしょう。
第二部「うわさの現場」では、京都・伊勢熊野・大阪・高知・壱岐・鎌倉・福井など、神や仏とともに、心霊スポットと呼ばれるようなところを歩いた旅日記のようなスタイルです。
この第二部の形が好評だったのか、『うわさの神仏 其ノ二 あやし紀行』『うわさの神仏 其ノ三 江戸TOKYO陰陽百景』と、続編も登場しています。其ノ二は奈良の旅も登場していますので目を通しましたが、文体もやや落ち着いてきて、とても読みやすくなっていました。
かなりクセのある内容ですが、この手の世界観がお好きな方であればそれなりに楽しめると思いますので、気軽に手にとってみてください。