2014-03-01
石田徹也遺作集
日常生活に潜む鈍痛を伴うような不安感を表現し、31歳で急逝した画家の遺作集
「短髪の無表情な男が、世界との距離感が掴めずに困惑している。」
そういった一連の作品を遺したアーティスト・石田徹也さんの作品集です。タイトルに「遺作集」とあるように、2005年に踏切事故のため夭折しています。
2013年秋にNHK「日曜美術館」での特集を観て衝撃を受け、この作品集を借りてきましたが、すごいですね。鈍痛を感じるような作品群です。
説明文:「「何かずーっと描いてて、描くのが僕だったと思う。描かないと僕じゃないような…」 驚愕の世界を描き続け、31歳で急逝した著者の創作活動10年の軌跡。」
石田さんの絵は、青年が機械や家具、虫や便器などと一体化しているモチーフのものが多く見られます。現代の生活に潜むゾワッとするような不安感を、それに対する風刺も込めて描いています。
本書では、石田さんの代表作とされる作品が次々に登場します。観る者の心を締め付けるような、痛みを伴うものばかりですが、何故か引き込まれてますね。巻末にはアート関係者から寄せられた弔辞のようなテキストも掲載されています。
ご本人も無口な方で、ずっとバイトを続けながら(親からの仕送りも断っていたそうです)作品を描き続け、一部で高い評価を受けながらも、わずか31歳で亡くなってしまいました。こうした現代アートは日本で評価されることは少ないように思いますが、死後に行われた海外のオークションでは、1200万円という高値で落札されたのだとか。切なさが増すエピソードですね。
公式ホームページから、彼が描いた作品たちが観られるようになっていますので、ぜひご覧ください。