フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
ヨーロッパの街角写真などからフォントの面白さを解説。ヴィトンのロゴ解説など興味深いです
日本人ながら、ドイツ在住で欧文フォントの企業に勤めているという変わった経歴の著者が、巷にあふれるフォントについてさまざまな解説をしてくれる一冊。欧米の街角で撮影した画像が270点使用され、それにまつわるコラムが70本。とても読みやすく解説されています。
「フォントのふしぎ」というタイトルもそそりますが、サブタイトルの「ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?」も興味深いですね。
説明文:「高級ブランドのロゴはなぜ高級そうにみえるのか? Aの右側の棒はなぜ太いのか?欧文フォントにまつわる素朴な疑問に答えてくれるトリビアの本。ドイツ在住の欧文フォントの専門家が、欧米の街中で撮影した写真をもとに、目からウロコのフォントの不思議を語ります。ガイドを聴きながら海外の街を散歩するように、フォントについての知識が楽しく身につくよう構成されています。」
第1章では、高級ブランドや有名ミュージシャンのDVD、ファッション雑誌のロゴなどの考察です。冒頭で紹介されているのはルイ・ヴィトンのロゴ。これは「Futura(フツラ)」という、1927年から発売されているフォントが使用されているそうです(ちなみにドルチェ&ガッバーナのロゴも同じフォントだとか)。ただし、これをそのままではなく、ほんの少しずつ字間を開けて使用することで、ゆったりと高級そうな印象にしているのだそうです。
また、マイケル・ジャクソンさん「THIS IS IT」のロゴは、古代ローマの碑文の雰囲気をほぼそのままフォント化した「Trajan(トレイジャン)」を使用。歴史を感じさせて王道感を出せる字体なのだそうです。
こうした有名なロゴだけではなく、ヨーロッパの街角で見かけた個性的なフォントや、筆者が制作に関わったフォントの話なども登場します。ネイティブではない日本人が、海外で(しかもドイツで)フォント制作に関わっているというだけでもユニークですし、日本人らしい視点も活かされていて、とても楽しいですね。
第4章では、数字や記号の正しい使い分け方など、ちょっとした基礎知識も学べます。私のような素人は、ウェブサイトのデザインなどをする際にフォント選びにはいつも苦労させられますが、とても参考になりました。
なお、本書は好評だったようで、続編にあたる『まちモジ 日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?』という本も登場しています。こちらも手元にありますので、これから読んでみますが、興味のある方は合わせてどうぞ!