
古事記 壱: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)
里中満智子先生が描く「古事記」豪華本全2巻。ややクセはありますが読みやすいです!
歴史漫画を多数描いてきた巨匠・里中満智子先生による「古事記」全2巻。小学館さんの創業90周年企画として、日本の古典作品が続々と漫画化されていますが、その第一弾を飾ったもの。気合の入った企画ですが、とても読みやすく古事記の世界へ入っていけます。
説明文:「日本古典が親しみやすい形で甦る!第1弾!日本古典文学の名作をベテラン漫画家が原典に沿ってビジュアル化する新シリーズ! 第1期として奈良・平安・鎌倉期の7作品10巻を刊行。各ベテラン漫画家ならではの漫画化で古典作品の魅力が倍増!読み応えと格調のある内容で、大人の古典鑑賞、入門に最適!
シリーズ第一弾として、昨年1300年紀を迎えた日本誕生ロマン『古事記』を、世界の神話・伝承を描いてきた里中満智子が、2巻立てで漫画化。その<壱>として、「この世の始まり」「天の岩屋戸」「八俣大蛇」「大穴牟遅」「根之堅州国」「大国主神」「国譲り」「天孫降臨」「木花之佐久夜毘売」「山幸彦と海幸彦」「豊玉毘売」「神武東征」「天皇誕生」「欠史八代」など収録。巻末寄稿/竹田恒泰。」
古事記自体は3部作のような形になっていますが(上巻中巻下巻)、第一巻では古事記の中巻に少し入って「神武東征」までを描いています。本書は300ページ弱ですから、1巻にここまで掲載するにはかなり駆け足にならざるを得ません。「天の岩屋戸」や「八俣大蛇」のエピソードも10ページ少々でまとめていますから、他のものと比べるとやや物足りない感もありますね。しかし、その分だけストーリーの枝葉が省いてあり、テンポ良く読み進められます。古事記の入門としてはちょうどいいのかもしれません。
里中先生が持統天皇の生涯を描いた『天上の虹』(まだ未完)と共通した、ややクラシカルな少女漫画っぽい絵柄ですから、男性のかたはやや苦手に思われるかもしれません。
また、1冊1,600円もするだけに紙質も良く、長く手元に置いておける愛蔵版のような位置づけなのでしょう。2巻までで完結していますので、合わせてどうぞ!