
恋スル古事記
禁断の愛や異種婚など、『古事記』に登場するラブストーリーを5つの短編漫画に
古事記に登場する5つの恋物語を描いた漫画。初体験、禁断の愛、異種婚と、さまざまな愛の形が描かれている古事記ですが、その中でも印象深いお話を淡々と描いています。
説明文:「イザナキとイザナミ、ヤマトタケルとミヤズヒメ、山幸彦と豊玉姫など、「古事記」を代表する激しくもおおらかな5編のラブストーリー。あなたは恋人の本当の姿を知っても愛し続けられますか?」
本書で取り上げられているのは以下のお話です。
●黄泉比良坂(イザナギとイザナミ)
●オオナムジの冒険(オオナムジとスセリヒメ)
●綿津見の魚鱗の宮(ヤマサチヒコとトヨタマヒメ)
●稲城の火(サホヒコとサホヒメ)
●やまとをぐな(ヤマトタケルとオトタチバナヒメ、ミヤズヒメ)
いずれも誰もが知っているというほどではありませんので、ここだけ抜き出してみると、「これも古事記の中の話だったのか!」と驚かれる方も少なくないでしょう。神話の中の世界ですから、人間同士ですらない愛の形があったりします。そんな不思議な世界観を、筆者はシンプルな絵で、余計な演出などは加えずシンプルに描いています。
ただ、古事記のお話を説明することに気を遣いすぎて、やや描写が平板になっている印象もあります。一般の方には古事記に登場するお話は馴染みがないものが多いのですが、古事記の内容に沿って…というよりも、古事記をモチーフにした…くらいで、強く愛が感じられるラブストーリーを描いて欲しかったですね。
しかし、その分だけ古事記のストーリーを追うには最適な内容になっています。それぞれのお話の後に、筆者が「ちょこっと解説」というコーナーで背景などを説明してくれるのも親切ですね。やはり漫画で読むとその世界観が伝わりやすいですし、古事記に興味があるけどどこから手をつけていいのか分からないという方にこそオススメです。興味のある方はどうぞ。