2013-07-08

わたしの古事記 「浅野温子 よみ語り」に秘めた想い

女優・浅野温子さんが演じて感じる「古事記」。神々に血が通った印象で斬新でした!

女優・浅野温子さんが取り組んでいる、古事記を題材にした一人舞台「よみ語り」。その中から5つのエピソードを紹介し、浅野さんご本人がそのエピソードについて思ったことを語った一冊です。

昨年は「古事記編纂1300年」の記念イヤーでしたので、近くでこの公演もあったのですが、その時はスルーしていました。しかし、この本を読んでみると、俄然興味が湧いてきますね。少なくとも、私とはまったく違ったベクトルで古事記を読み解いていて、とても興味深かったです。


説明文:「80年代、トレンディドラマの女優として一世を風靡し、現在もテレビ、舞台と様々に活躍する著者が、2003年から取り組んでいる『古事記』をもとにした1人舞台「よみ語り」。脚本担当の阿村礼子さんと独自の解釈を加えて現代語訳した舞台は、魂のこもった演技とともに各地で好評を得、これまでに全国60箇所以上の神社で公演されています。
本書は、数ある脚本のなかから、特にこだわりのある5つのエピソードをピックアップしました。それらを演じるなかで生まれてきた神々への想いや、そこから読み取れる日本人の心の原点を、女優ならではの視点から探っていき、感じたこと、考えたことをありのままに述べた初の著作です。「『古事記』ってこんな話だったんだ」と、きっと新鮮な発見があるはずです。脚本(抜粋)とともに、著者がプライベートで撮りためた花の写真もカラーで多数掲載。女優・浅野温子の新たな一面が垣間見える1冊です。 」


本書で取り上げられているエピソードは、5つです。

●愛が憎しみに変わるとき《夫婦の絆》(イザナギ・イザナミ)
●姉として、統治者として《姉弟の絆》(アマテラス・ツクヨミ・スサノオ)
●神々から預かった命《母子の絆》(オオナムチ・サシクニワカヒメ)
●肉食系女子の初めての恋《恋人の絆》(オオクニヌシ・スセリヒメ)
●同じ男を愛した姉妹《姉妹の絆》(コノハナサクヤヒメ・イワナガヒメ)

それぞれ舞台で演じられる脚本を紹介し、その後に浅野さんのエッセイのような文章が入ります。すべて元となる古事記のエピソードにいくらか脚色を加え、より感情の起伏まで伝わってくるような描き方がされています。

例えば、最初のイザナギ・イザナミの国生みの神話では、イザナミは火の神・ヒノカグツチを産み落とした際に大やけどを負って死んでしまいます。私の中では、生まれ落ちたヒノカグツチはすぐに父神であるイザナギに切り殺されてしまっているため、何の感情も人格も持たないイメージでしたが、ここでの解釈は違います。母を殺してしまった自責の念にかられていますし、それに怒り狂ったイザナギが自分を殺そうとする気持ちも理解しています。ヒノカグツチにスポットを当てることで、より切ないドラマになるんですね。

私などは、古事記はそこで描写された世界観などをそのまま読もうとするため、あまりドラマ的にイメージを膨らませようと考えたことが無かったので、こうした見方は本当に新鮮に感じました。アマテラスが天の岩屋戸にこもる段でも、スサノオとともにツクヨミも登場させて、兄弟神の成長の心理劇として捉えるなど、よく練られていますね。

そんな脚本の紹介の後に、浅野さんのエッセイが出てきますが、これが意外なほど現代的な女性目線の文章で、そのギャップも面白かったです。「愛される方が優位に立てる」「肝心なのはタイミング」など、古事記を下敷きとして、現代の恋愛模様まで連想していることが伝わってきて、こちらもかなり斬新でした。

女性から見れば当然のことなのかもしれませんが、頭が硬くなったオッサンには、そんな視点すら驚きです。驚きながらも最後まで一気に読み進めましたので、古事記好きな男性も、古事記初心者の方も、気軽に手にとって欲しい一冊でした!


『<$MTEntryTitle$>』より

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