
マンガ 遊訳 日本を読もう わかる古事記
漫画と分かりやすいテキストの古事記入門本。330ページのボリュームですが読みやすい!
難解な古事記のストーリーを、漫画と分かりやすいテキストで解説していく、充実の入門書。神が生まれ日本の島を形作る天地創造から、天皇の治世となり皇位が継承されていく時代まで(欠史十代と言われる推古天皇の時代まで)が、約330ページというボリュームで描かれています。
説明文:「日本人なら読んでおきたい、いにしえの歴史書、古事記。古代の人たちが何に悩み、何で戦ったのか、猥雑で本能的な営みの中から生まれた歴史、古事記が伝えようとしたものは何なのか、ぜひ、本書を読んで考えてみて下さい。 つだゆみさんのマンガで理解し、劇作家村上ナッツさんの文章でうなる。 監修には大阪府立大学の村田右富実に入っていただき、最新の研究結果を踏まえたアドバイスを随所にいただきました。 古事記を読んでみたいと思ったら、まず、本書をお読みください。古事記の世界に簡単に浸ることができます。そうすると、不思議、他の古事記の本もすらすら読むことができるようになります。」
もともと古事記は上中下の3巻あり、上つ巻は神々の時代、中つ巻では初代・神武天皇が登場、下つ巻は第十四代・仲哀天皇とその后・神功皇后の時代から描かれます。一般的な古事記の解説書では、もっとも古事記らしい部分といえる、神武天皇が東征を成し遂げて橿原宮で天下を治めたあたりで終わってしまうことが多いのですが、本書ではしっかりとその後も続いています。その点は高評価ですね。
基本的に、見開きの右側ページはテキスト、左側ページが漫画です。テキストも分かりやすい注釈が同じページに書いてありますので、とても読みやすいですね。歌の意味、系図などがページを必要なタイミングでページをめくらずに見られるので、登場人物が覚えづらいというストレスも軽減されます。また、ホオリ(いわゆる海彦山彦)の欄外には、綿津見宮で兄の存在を3年間も忘れ去ったことに対して、「3年も忘れるってひどくない?」とツッコミを入れていたり、肩肘張らずに気軽に読めますね。
巻末には、神々の系図や、天皇家の系図、日本各地の神話ゆかりの地マップ、歴代天皇の宮跡のマップなども掲載されています。また、監修者の村田先生の後書きのようなコーナーでは、本書の3つの読み方が提案されています。
[1]古事記を初めて読む方は、面白そうな絵のページから [2]古事記を神話だと思っている方は、中下巻以降から [3]古事記に詳しい方は、自分の解釈と比較しながら。
まさにその通りですね。慣れない方が最初から丁寧に読もうと思うと、いきなりややこしい名前の神々がたくさん登場してきて(しかも登場シーンはここだけ)、早々に挫けてしまうことも多いでしょう。面白そうなところから適当にパラパラッとページをめくってみるといいですね。