リキテンスタイン NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アート・シリーズ)
漫画的な描写法ベンデイ・ドットで有名なポップアート画家の作品集。90点近く収録しています
漫画のスクリーントーンのような点描「ベンデイ・ドット」の手法を多用したことで知られる、アメリカのポップアート画家「ロイ・リキテンスタイン」(Wikipedia・画像検索)の作品集と解説書です。
第二次世界大戦後に活躍した方で、いかにもポップアート的でポスターらしい作品を遺しています。芸術と比べて数段低いものと見られていた広告や漫画を素材として、それをモダニズムにも共通するような手法を用いて、独得の世界観を作り上げました。個人的にも大好きな作家さんです。
説明文:「黒い縁取りと限られた工業的な色、そしてベンデイ・ドット。表現をコラージュや絵画モチーフの向こうにまで拡張する方法を見出したロイ・リキテンスタインの作品について解説。」
本書では、リキテンシュタインの作品90点近くを収録し、作品の解説とともに、時代背景や彼自身の言葉などを紹介しています。漫画の一コマのようなシリーズや、ドットや斜めの直線を多用して部屋を描いたシリーズなど、有名な作品は多数見られますし、あまり知られていないような白黒の小品なども掲載されているのがいいですね。
個人的に一番好きなのは「白のブラッシュストローク」「黄と緑のブラッシュストローク」などのシリーズです。いずれも油彩で描かれているとは思えないような作品で、力強い筆使いをモチーフに、ベンデイ・ドットなどの手法でそれを分解し、再構築しています。現実をポップに広告的に、それでいて深みやSF的なイメージを感じさせないのがいいんですよね。
本書の解説には難解な部分も多いため、私にはすべて理解することは出来ませんでしたが、同時代に同じような手法を用いたアンディー・ウォーホルのリキテンシュタイン評や、点描の画家スーラについての言及など、興味深いところも多かったです。興味がある方は手にとってみてください。