近鉄沿線 謎解き散歩 (新人物文庫)
近鉄の駅ごとにマニアックな歴史コラムを紹介。電車の知識が無くても気軽に楽しめる内容です
新人物文庫の「謎解き散歩」シリーズの一冊。県別で出ているものの奈良県版『奈良県謎解き散歩』(ブログ記事)はなかなか面白かったのですが、今度は関西から中部までカバーする「近鉄電車」の駅ごとに、歴史についてのマニアックな情報を紹介しています。
説明文:「長く日本の中心域であった関西と中京を走る近鉄電車。沿線には、纏向古墳群や平城宮跡、興福寺や春日大社、吉野山、伊勢神宮や英虞湾、難波宮や赤坂城跡、城南宮等々、今も様々な謎・不思議を問いかける遺跡・史跡や風光明媚な名所・景勝地、そして興味深い祭や民俗がたくさんあります。さらに、名所・旧跡だけではなく、年月を経て豊かになった数々のご当地グルメや、古代・中世の人々の思いが込められている和歌、近世・近代の名作小説を生んだ作家の足跡を訪ねる文学散歩なども、魅力の一つではないでしょうか。歴史や景勝地の観光スポットを訪ね、「そこ」に立つことによって心の琴線にふれる「実感」を、あなたも感じてみませんか。」
近鉄電車は、現在は25路線があるとか。第1章「近鉄の駅っておもしろい!」では、そんな路線や車輌の特徴などが解説されています。そして、奈良県・大阪府・京都府・愛知県・三重県など、エリアの路線ごとに、それぞれ駅名を挙げてその土地にまつわるエピソードを紹介していきます。計9名の方が執筆なさっていますが、エリアの特徴もあって古代史が多め。そこに近代・現代の話題が混ざっています。
私自身は、普段はほとんど電車に乗る機会もありませんので、駅名も路線名もほとんど分からないのですが、ひとつ隣の駅へ移動するとまったく違った時代のエピソードが紹介されていたりして、ちょっとしたギャップが面白いですね。
例えば、大阪難波駅「なぜ鴨南蛮のふるさとが難波なのか?」→弥刀駅「聖徳太子の祈りは、戦局をどう変えたのか?」→高安駅「道鏡の時代に、なぜ大阪に離宮が造られたのか?」→安堂駅「大和川はなぜ付け替えられたのか?」→耳成駅「藤原京はなぜわずか十六年で廃都になったのか?」など、それぞれ数ページずつ簡潔に分かりやすく紹介されています。
一つの事柄について深く掘り下げるタイプの読み物も面白いものですが、こうして浅め広めで視野を広げてくれるものも楽しいですね。気軽に読める内容ですので、歴史好きな方は手にとってみる価値はあるでしょう!