六国史―日本書紀に始まる古代の「正史」 (中公新書)
6つの国史についてエピソードとともに分かりやすく解説。良書!
奈良時代の『日本書紀』に始まり、平安中期まで国主導で編纂された6つの国史「六国史」について、その内容や背景を解説した一冊。奈良県などが参加する「第4回古代歴史文化賞」の優秀作品賞に選ばれたことで知った一冊ですが、とてもおもしろかったです!
説明文:「奈良時代から平安時代にかけて編纂された歴史書「六国史」。七二〇年に完成した日本書紀から、続日本紀、日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三代実録までを指す。天地の始まりから平安中期の八八七年八月まで、国家の動向を連続して記録した「正史」であり、古代史の根本史料である。本書は、各書を解説しつつ、その真偽や魅力を紹介。また、その後の紛失、改竄、読み継がれ方など、中世から現代に至る歴史をも描く。」
私などにとっては、日本最初の勅撰の国史である『日本書紀』、持統天皇以降の奈良時代を扱った『続日本紀』はともかく、それ以降のものはほぼ馴染みがありませんした。
【1】720年『日本書紀』-神代~第41代・持統天皇(30巻、系図1巻)
【2】797年『続日本紀』-第42代・文武天皇~第50代・桓武天皇前半(40巻)
【3】840年『日本後紀』-第50代・桓武天皇後半~第53代・淳和天皇(40巻中の10巻のみ現存)
【4】869年『続日本後紀』-第54代・仁明天皇(20巻)
【5】879年『日本文徳天皇実録』-第55代・文德天皇(10巻)
【6】901年『日本三代実録』-第56代・清和天皇~第58代・光孝天皇(50巻)
後半になると天皇の一代記のようになっていますが、とくに物語性があったりするものではなく、その時代に起こった事件・出来事などが事務的に記されているのだとか。歴史を扱った本に引用されるのを見かけるくらいで、とくに読んで面白いものではないようです。
本書では、こうした国史編纂の歴史と背景、特徴などを、印象的なエピソードを交えて紹介しています。なぜ編纂されたのか、なぜ作られなくなったのか、削られた内容や復活した内容など、無機質になりがちな内容を興味深く読ませてくれます。
個人的にとても楽しく読了できましたので、興味のあるかたはぜひ!