2014-01-07

もっと知りたいルドン―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

フランス象徴主義の画家オディロン・ルドンの作品を分かりやすく解説。個人的に好きな絵です

印象派の画家たちと同じ時代に生きながら、幻想的な世界を石版画や木炭画などのモノクロームで描いた、フランス象徴主義の画家「オディロン・ルドン」(Wikipedia)の作品を分かりやすく解説した一冊。初心者向けに編集された内容だけに、彼の代表的な作品はほぼ収録されていますし、作風の変遷も見やすいですね。

ルドンの作品は、前半のモノクロームの時代と、晩年のカラフルな色彩画の時代に分けられます。

若いころに描いた、眼球・気球・顔のある花・奇怪な蜘蛛など、幻想的で奇妙なモチーフの作品群も惹かれますね。ウジェーヌ・ドラクロワやギュスターヴ・モローなどの影響を受けながら、エドガー・アラン・ポーの作品世界に着想を得たものもあり、オカルト的な世界を描いています。

この時期のフランスは、クロード・モネらの印象派の画家たちが登場してきたころですが、それと時を同じくして対極にあるような画家が登場するのも面白いところですね。

そんなルドンは、晩年にはモノクロームの世界観を捨て去り、鮮やかな花を描いた「グラン・ブーケ」といった作品などを描き、高く評価されていきます。幻想的な世界観は共通しているものの、素人目には同じ作家のものとはとても思えません。しかし、どちらのテイストも素晴らしいですね。

個人的に一番好きな作品は、最後のページに掲載してある「キュクロプス」です。山の中に身を潜めるニンフを探して山の頂から顔を覗かせる、一つ目の巨人キュクロプス族。とても奇妙な絵ですが、一つ目の巨人のうつろな目が淋しげで、無邪気ながらもどことなく邪悪で、目が離せなくなります。

この「アート・ビギナーズ・コレクション」は、入門編には最適の内容になっていますので、興味のある方は探してみてください。


『<$MTEntryTitle$>』より

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