ニッポン現代アート
30の現代アート作品を分かりやすく紹介した一冊。さらりと観られる良書で、解説文が秀逸です
本書は講談社のPR誌『本』の表紙を飾った絵を中心に、30の現代アート作品を収録しています。雑誌の表紙になるくらいですから、多少は分かりやすいもの・穏やかなものをセレクトしているのかもしれませんが、混沌としたイメージの現代アート作品をさらりと観られる良書でした。
説明文:「日本の最先端アートシーンを1冊に凝縮しました。美術評論の名手がわかりやすくナビゲートする「紙上アートフェア」にようこそ!古今東西の美術を知悉する名手が、最先端を疾走する多彩な才能たちの作品へ誘う。」
登場する作家さんは、岡村圭三郎さん・小沢さかえさん・中山玲佳さん・できやよいさん・安田佐智種さん・丸山直文さんなど。正直なところ、私はかろうじて奈良美智さんの名前を知っているくらいで、その他の方の作品は初めて拝見したと思います。現在のアートは、色んなテーマや画法が乱立していて、かなり取っ付きづらいのかと思っていましたが、どれも素直に楽しめます。無条件に面白かったりすごかったり、刺激的ですね。
本書の構成は、基本的に2ページ見開きで作品の画像があり、次のページでテキストの作品紹介、そして作品のアップ(もしくは全体像)が掲載されています。とても分かりやすい構成です。
個人的には、著者の高階秀爾さんの解説テキストが素晴らしいと感心しました。アート作品の解説はとても難しいもので、私などはよく頭を悩ませるのですが、この方の作品の見た目からそこに込められた意味まで、端正な文章で綴られています。それでいて私のような門外漢にも分かりやすいのですから、ちょっと尊敬に値するレベルでした。
そんなこともあって、私には詳しい解説をつけることは不可能ですが、アートの多様性を実感できて楽しく読めました。決して堅苦しいものではありませんので、お気軽にどうぞ。なお、この本は一応『日本の現代アートをみる』の続編のような位置づけのようですので、こちらも探してみたいと思います。