日本人だけが知っている 神様にほめられる生き方
春日大社の岡本権宮司のご著書。打算のない行動をとり続けて運を招き寄せるのが重要です
春日大社の岡本権宮司の最新のご著書です。宗教家の方たちが、人間のあるべき姿や生きる指針について語る本は少なくありませんが、個人的に僧侶の方が書いたものを読むことが多いため、神主さんの言葉はちょっと新鮮でした。とても平易で読みやすく、文章がすっと腑に落ちていくような感覚があります。
タイトルは「神様にほめられる生き方」ですが、「どの方角へ何色のものを置く」とか、「毎日しっかりとお祈りを捧げる」などの具体的な方法を示すのではなく、古くから続けられてきた伝統を重んじ、打算のない行動をとり続けることで運を招き寄せることを説いていらっしゃいます。
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説明文:「上へ上へと伸びるより、奥へ奥へと歩みなさい――
強運の人・愛される人の共通点とは?
順風満帆な人生は仕上がりが悪い。失敗の多い人生こそ、気づきがあり、人の言葉も身に沁みます。人生に迷ったとき、もうこれ以上歩めないと思ったとき、この本を手に取ってもらい、生きるよすがにしていただければと念じています。(まえがきより)
打算のない行動が運命を開く。
運を招くためには、損得ばかり追求してはいけない。
代償を求めない行動こそが運を招き寄せる。
感謝の気持ちは幸せへの入り口。
感謝すること、物を大切にすることは誰にでもできる
簡単な行為だが、心の底からそう思い、行動すること
は難しい。「もう少し」と努力を続けた人が最高の人
生を送れる。
ほか、今日も生き続ける、二千年続く所作・しきたりに込められた智恵を紹介。」
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とても静かな語り口ですが、しきたりや古語などを引いて、伝統的なものの考え方の素晴らしさと美しさをじっくりと説いていらっしゃいます。読んでいるうちに付箋紙だらけになりましたが、その中からいくつか引用してご紹介しておきます。
「健全なる肉体に健全なる精神が宿る」というのは、西洋の考え方です。東洋ではその逆で、「魂を健全にすれば自ずと肉体も健全になる」と考え、魂をいかに健康に活性化するかということを大切にしました。
11ページ「瑞気(ずいき)」を取り込むと幸せになる」より
もしも最初から神仏の存在が確認できたら、人々は打算をもって参詣するに違いありません。ゆえに人の真心を試すために、わざと神仏は存在がわからないようにされているのです。
31ページ「神様のお姿が見えないことに意味がある」より
日本の文化は、「みぎわ」の文化です。みぎわとは水際、つまり陸地でもなし、水面でもなしという、水際すれすれのところに美しさを認めてきたのです。
89ページ「「みぎわ」の美しさを重視する」より
「死ぬまで必要とされる人生」を歩みたいものです。それが今の私の最大の問題です。
153ページ「人のために生きる」より
ちなみに、私の手元にある本は、2013年6月10日に第1刷が発行され、8月1日の時点ですでに第5刷となっていました。こうした良書がちゃんと人の目に触れているのを知ると、嬉しくなりますね。これからも何度か読み返してみたい一冊です。