近代美術の名作150 Top 150 Modern Japanese Art
日本の近代美術作家130名の代表作をざっと見られる一冊。初心者には嬉しい企画です
日本の近代美術作家130名の作品を、基本的に1点ずつ(もしくは数点)紹介していくもの。名だたる有名作家が名前を連ねていますが、時代によって大きく作風を変える方がほとんどです。そんな作品群の中から1点の代表作を選んで紹介するというのですから、無謀といえば無謀ですし、私のような美術初心者には全体を俯瞰して大まかに把握できる、ありがたい企画でもあります。
説明文:「早わかり年表で近代美術の歴史を知る。名作150点を130ページのカード形式で見る。6つの評論から近代美術をさらに読み解く。知っておきたい作品の見どころを一挙紹介。」
取り上げられている作家さんと作品を挙げてみると、黒田清輝「大磯鴫立庵」、浅井忠「冬木立」、青木繁「海の幸」、竹内栖鳳「雨霽(あまばれ)」、菱田春草「落葉」、横山大観「柳陰図屏風」、岸田劉生「道路と土手と塀」、東郷青児「パラソルさせる女」、速水御舟「舞妓」、竹久夢二「十字架(散らし絵)」、高村光太郎「鯰」、岡本太郎「傷ましき腕」、前田青邨「観画」、東山魁夷「道」、イサム・ノグチ「かぶと」、堂本印象「風神」などなど。
この作家さんであればもっと有名な作品があるだろう…などと思うものもありますし、まさにこれと納得するものがあったりして面白いですね。
また、私のレベルだとほとんど知らなかった作家さんの方が多いですから、そういった方との小さな出会いとしてもいいですね。メモ代わりに気になった方の名前を挙げておくと、川端龍子「草炎」(工芸と絵画の間を行くような作品)、山口蓬春「市場」(美しくも儚い近代大和絵)、横山操「溶鉱炉」(戦後復興期を力強く描いた日本画)、加山又造「春秋波濤」(戦後の日本画もすごい!)などなど。
また、途中で挟まれるコラムも興味深かったのですが、そこで小さく取り上げられていた作家・田中一村「批榔樹(びろうじゅ)の森」も覚えておきたいと思います。
現代美術というと何から理解していいものやら分からないという方も少なくないと思いますが、この本はその入口として最適かもしれません。たかだか1作品を観たくらいで好き嫌いを判断するのも良くないと思いますが、それも出会いですからね。興味がある方はぜひ手にとってみてください。