かたじけなさに涙こぼるる 祈り 白洲正子が見た日本信仰
白洲正子さんの足跡を追って、お孫さんが全国を旅し、美しい写真とともに紹介した一冊
2010年の白洲正子さん生誕100周年を記念して出版されたもの。お孫さんである白洲信哉さんが、祖母の足跡を追って日本全国を旅し、美しい写真とともに紹介していく内容です。
雑誌「家庭画報」に連載されたものを加筆・再構成した、「白洲正子の贈り物」「白洲正子の宿題」に続くシリーズ三冊目に当たるとか。美しい写真が素晴らしいですし、白洲正子さんの世界観を追体験できる素敵な内容ですね。
説明文:「日本という国を愛し、その本質にふれる文書を数多く残した女性、白洲正子。生誕100周年。白洲正子さんとともに暮らし、旅の同行者でもあった、孫・白洲信哉氏が、祖母の足跡を追い、その真髄を追求した「白洲正子の贈り物」「白洲正子の宿題」に続く第三弾。没後13年を迎え、今なお多くの愛読者を増やしている白洲正子さんの真髄が本書から見えてきます。著者の祖母に対する深い愛情や尊敬の念が随所からにじみ出る文章は、読者をひきつけるほか、正子さんが愛してやまなかった日本の風土・文化への言及は、仏像や歴史に興味のある方にも魅力ある1冊。」
本書で扱うテーマは、富士山・隠国・翁・西国巡礼・十一面観音巡礼・若狭紀行・近江山河抄・かくれ里・浄土・西行・日月山水図。いずれも白洲正子さんの名文がすぐに思い浮かぶような、代表的なものばかりです。筆者さんは、祖母の足跡をたどって西国札所を巡ったりしていますが、いかんせんページ数が足りず、駆け足で紹介しているような内容なのが残念ですね。その分を美しい画像が補っていますが、やや食い足りない感がありました。
その当時から、日本の伝統的な風景などが失われていることを嘆いていた白洲さんでしたが、それから半世紀も経った今、よりお寒い光景になってしまった場所も少なくないようです。そんなことを嘆きながらも、日本にはまだまだ素晴らしい場所が多数残されていることを再確認できました。
2010年ごろには、白洲正子さんの関連書籍が多数出版されましたので、そのすべてを読む必要性もありませんが、この本はなかなか楽しめました。改めて著作を読み返したい気分にさせてくれる一冊ですね。