2013-08-17

地獄絵を旅する 残酷・餓鬼・病・死体 (別冊太陽 太陽の地図帖 20)

地獄とはどのような場所か?全国の「地獄絵」で見せる一冊。細かい情報も豊富で面白い!

日本各地の「地獄」を紹介したムック本。地獄絵の名品を紹介するのがメインですが、東京のえんま堂マップがあったり、それを辛酸なめ子さんが巡ったり、地獄のイメージを生み出した恵心僧都源信の地元(奈良県の二上山の麓です)を紹介したりと、なかなか充実しています。冒頭に細野晴臣さんのインタビューが入っているのも豪華ですね。


説明文:「「地獄草紙」「餓鬼草紙」「病草紙」「北野天神縁起絵巻」など、地獄絵の名品をふんだんに紹介しつつ、恐ろしくも魅惑的な「地獄」の世界を旅する一冊。文=細野晴臣、辛酸なめ子ほか。」


本書で取り上げられているのは、「地獄草紙」「北野天神縁起絵巻」「聖衆来迎寺本六道絵」(すべて国宝)など。いずれも有名な地獄絵で、それぞれの一部を拡大し、時代ごとにどのように地獄が描かれてきたのかを伝えています。

その内容は、火炎・痛み・暴力・糞便・鳥獣・刃物・禁食など、人間を苦しめるありとあらゆるものが登場し、地獄に落ちた者たちを苛んでいます。説明を読むとただただグロテスクなんですが、古典的なタッチで描かれるとどこかユーモラスにも感じられます。庶民の前にこんな作品を吊るして絵解きしていたのですから、昔は地獄の存在がリアルだったでしょうし、より恐ろしいものだったでしょうね。

この他、身近に潜む餓鬼を描いた「餓鬼草紙」、ふたなりや肥満などの病気と考えられたものを描いた「病草紙」、美女の死体が次第に朽ち果てていく姿を描いた「九相図」なども紹介されています。日本人は昔から不思議なものを描き、見て来たんだと感心してしまうほどですw

また、奈良の矢田寺所蔵のものも紹介されていますし、長岳寺の北川和尚による絵解き講座が10ページにわたって掲載されているのも嬉しいですね。「三途の川は三通りの渡り方がある」など、意外と知らないことが多くてためになりました。

メモ代わりに書いておきますが、埼玉県春日部市にある浄土宗寺院「圓福寺」では、折りたためる3面形式の浮彫りの地獄絵「木彫閻魔王宮と八大地獄図」なんてものが現存しているのだとか!中興の光世上人による1700年くらいの作品で、他にも浮彫りの「木彫立体當麻曼荼羅」などもあるそうです。毎年4月の第1日曜日に開催される「圓福寺まつり」で公開されるとか。いつか観てみたいですね!

そんな有益なプチ情報なども掲載されていますし、地獄絵やえんま堂などに興味がある方は必読でしょう。面白かったです!


『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より


【地獄絵を旅する 残酷・餓鬼・病・死体 (別冊太陽 太陽の地図帖 20)】の関連記事

  • 『Casa BRUTUS特別編集 長く使いたい暮らしの道具。』~中川政七商店さんと「100年続く日本のものづくり」を考える。充実のムック本~
  • 『はじめましての郷土玩具』~全国の郷土玩具を約320点紹介。画像も美しく愛らしい!物欲が刺激されます~
  • 『「和もの」のいろは』~暮らしの中に「和もの」を取り入れるヒントたち。気楽にぱらぱらとページをめくれます~
  • 『日本民藝館手帖』~東京・駒場「日本民藝館」の所蔵品を紹介していく一冊。その理念と美しさを知る入門書に~
  • 『理想の暮らしを求めて 濱田庄司スタイル』~民藝運動の中心となった偉大な陶芸家。その作品と生活に迫った企画展の図録。憧れます!~
  • 『富本憲吉の陶磁器模様』~陶芸家・富本憲吉さんの「模様」にスポットをあてた一冊。巨匠のこだわりが感じられます~
  • 『あらもの図鑑 (とんぼの本)』~箒、ちりとり、おろし金など。日本橋の荒物問屋「松野屋」さんが選んだ150点がずらり!~
  • 『供養をかたちに―歴史的石造物を訪ねて (「月刊石材」別冊シリーズ)』~層塔・五輪塔・宝篋印塔・石仏など、全国30の石造物たちを紹介。渋くて興味深い世界です~
  • 『世界のかわいい民族衣装―織り、染め、刺繍、レースなど手仕事が生みだす世界の色と形』~世界の約65種類の可愛い民族衣装を収録。丁寧な手仕事、不思議な文様。確かに可愛いです!~
  • 『明治の細密工芸: 驚異の超絶技巧! (別冊太陽 日本のこころ 217)』~陶器や漆など、明治期の素晴らしい細密工芸品たち。写真大きめでじっくり観察できます!~
  • 『大和し美し―川端康成と安田靫彦』~著名な文学者と日本画家が日本の美を通じて交流した記録。まさに「文化人」という世界です~
  • 『色とかたちが奏でる美 富本憲吉のやきもの (小学館アート・セレクション)』~安堵町生まれの偉大な陶芸家の代表作130点を紹介。華やかな更紗文様は見事!見惚れます~






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ