江戸な日用品
浴衣・箒・鋏・箸・傘など、今なお東京で買える「江戸」の日用品たちを紹介した一冊
粋で洒脱な「お江戸」で生まれた日用品たち。現在でも職人さんたちの手仕事で作られているものたちを、写真多めで紹介した一冊。テレビ東京系列の「和風総本家」的なアイテムが紹介されています。
説明文:「箒、鋏、箸、包丁から行灯、傘、手拭まで、江戸の町が育んだシンプルで実用的な日用品の数々。老舗の逸品を美しい写真で紹介する、江戸の暮らしのエッセンスが詰まった、江戸買い物帖。」
本書では、基本的に各アイテムごとに写真2ページ・テキスト2ページの構成で紹介しています。冒頭に掲載されているのは、江戸らしい端正な染めが美しい「ゆかた」。一般的にゆかたが外で着用されるようになったのは、江戸時代の奢侈禁止令がきっかけだったとか。贅沢品とされた絹の着物が着られなくなり、歌舞伎役者がそれに変わってゆかたを着始めたのがブームの火付け役となったそうです。
ゆかたの販売店として紹介されているのは、天保13年(1842年)創業の老舗「竺仙(ちくせん)」さん。現在でも江戸の文化を受け継ぐ伝統技術「長板本藍染」の浴衣など、毎年千種類もの新作を発表しているそうです。「今でも買える」というのは、さすがはお江戸ですね。
また、1590年創業、団扇や扇子の「伊場仙」は、江戸時代には歌川国芳や広重などの浮世絵師たちを使ったシリーズの版元になっていたりと、歴史の重みはさすがです。
こんな感じで、手ぬぐいや箸、漆器、束子、傘・楊枝、箒・鋏・判子、江戸千代紙、和紙など、江戸のテイストが感じられるものたちが紹介されていきます。面白かったのは、箸専門店「大黒屋」さん。三角形~九角形までの箸が揃っていて、もっとも手に馴染むのが七角形なんだとか。いつか使ってみたいですね!
この手の本は、奈良と京都はよく手に取りますが、江戸のものは初めてでした。いずれも長く愛されてきた老舗の逸品ばかりが登場しますし、私などにはいかにも江戸…という雰囲気かどうかは分かりませんが、どれも素晴らしい和のデザインで、見ているだけで楽しくなりますね。
お江戸の粋を持ちたい方はぜひ手にとってみてください!