2013-08-10

江戸な日用品

浴衣・箒・鋏・箸・傘など、今なお東京で買える「江戸」の日用品たちを紹介した一冊

粋で洒脱な「お江戸」で生まれた日用品たち。現在でも職人さんたちの手仕事で作られているものたちを、写真多めで紹介した一冊。テレビ東京系列の「和風総本家」的なアイテムが紹介されています。


説明文:「箒、鋏、箸、包丁から行灯、傘、手拭まで、江戸の町が育んだシンプルで実用的な日用品の数々。老舗の逸品を美しい写真で紹介する、江戸の暮らしのエッセンスが詰まった、江戸買い物帖。」


本書では、基本的に各アイテムごとに写真2ページ・テキスト2ページの構成で紹介しています。冒頭に掲載されているのは、江戸らしい端正な染めが美しい「ゆかた」。一般的にゆかたが外で着用されるようになったのは、江戸時代の奢侈禁止令がきっかけだったとか。贅沢品とされた絹の着物が着られなくなり、歌舞伎役者がそれに変わってゆかたを着始めたのがブームの火付け役となったそうです。

ゆかたの販売店として紹介されているのは、天保13年(1842年)創業の老舗「竺仙(ちくせん)」さん。現在でも江戸の文化を受け継ぐ伝統技術「長板本藍染」の浴衣など、毎年千種類もの新作を発表しているそうです。「今でも買える」というのは、さすがはお江戸ですね。

また、1590年創業、団扇や扇子の「伊場仙」は、江戸時代には歌川国芳や広重などの浮世絵師たちを使ったシリーズの版元になっていたりと、歴史の重みはさすがです。

こんな感じで、手ぬぐいや箸、漆器、束子、傘・楊枝、箒・鋏・判子、江戸千代紙、和紙など、江戸のテイストが感じられるものたちが紹介されていきます。面白かったのは、箸専門店「大黒屋」さん。三角形~九角形までの箸が揃っていて、もっとも手に馴染むのが七角形なんだとか。いつか使ってみたいですね!

この手の本は、奈良と京都はよく手に取りますが、江戸のものは初めてでした。いずれも長く愛されてきた老舗の逸品ばかりが登場しますし、私などにはいかにも江戸…という雰囲気かどうかは分かりませんが、どれも素晴らしい和のデザインで、見ているだけで楽しくなりますね。

お江戸の粋を持ちたい方はぜひ手にとってみてください!


『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より

『<$MTEntryTitle$>』より


【江戸な日用品】の関連記事

  • 『Casa BRUTUS特別編集 長く使いたい暮らしの道具。』~中川政七商店さんと「100年続く日本のものづくり」を考える。充実のムック本~
  • 『はじめましての郷土玩具』~全国の郷土玩具を約320点紹介。画像も美しく愛らしい!物欲が刺激されます~
  • 『「和もの」のいろは』~暮らしの中に「和もの」を取り入れるヒントたち。気楽にぱらぱらとページをめくれます~
  • 『日本民藝館手帖』~東京・駒場「日本民藝館」の所蔵品を紹介していく一冊。その理念と美しさを知る入門書に~
  • 『理想の暮らしを求めて 濱田庄司スタイル』~民藝運動の中心となった偉大な陶芸家。その作品と生活に迫った企画展の図録。憧れます!~
  • 『富本憲吉の陶磁器模様』~陶芸家・富本憲吉さんの「模様」にスポットをあてた一冊。巨匠のこだわりが感じられます~
  • 『あらもの図鑑 (とんぼの本)』~箒、ちりとり、おろし金など。日本橋の荒物問屋「松野屋」さんが選んだ150点がずらり!~
  • 『供養をかたちに―歴史的石造物を訪ねて (「月刊石材」別冊シリーズ)』~層塔・五輪塔・宝篋印塔・石仏など、全国30の石造物たちを紹介。渋くて興味深い世界です~
  • 『世界のかわいい民族衣装―織り、染め、刺繍、レースなど手仕事が生みだす世界の色と形』~世界の約65種類の可愛い民族衣装を収録。丁寧な手仕事、不思議な文様。確かに可愛いです!~
  • 『明治の細密工芸: 驚異の超絶技巧! (別冊太陽 日本のこころ 217)』~陶器や漆など、明治期の素晴らしい細密工芸品たち。写真大きめでじっくり観察できます!~
  • 『大和し美し―川端康成と安田靫彦』~著名な文学者と日本画家が日本の美を通じて交流した記録。まさに「文化人」という世界です~
  • 『色とかたちが奏でる美 富本憲吉のやきもの (小学館アート・セレクション)』~安堵町生まれの偉大な陶芸家の代表作130点を紹介。華やかな更紗文様は見事!見惚れます~


  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ