スイッチ!
「変われない」を変える方法。自分を、組織を変えるアプローチが紹介されていて興味深いです
2010年8月発売の本ですが、ここのところ何箇所かでお勧めされていたため、図書館で借りてみました。400ページ近い分厚い本ですが、とても興味深かったです。
本書では、人間の理性を「象使い」に、感情を「象」に例えて説明されています。彼らを上手く導いて、自分の生活習慣やグループの雰囲気などを変えていく「スイッチ」を見つけていく方法を示しています。個々のノウハウは、そういったサイトなどでも見かけることがありますが、系統だって読んでみると色んな発見がありますね。
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説明文:「問題:映画館でポップコーンを食べる量を減らすには?
答え:容器を小さくする。以上。
●顧客サービスをしない方針の会社が「熱狂的な顧客サポート」に目覚めたのはなぜか?
●これまで住民が気にもとめなかった絶滅危惧種を「国のシンボル」にした方法とは?
●ベトナム戦争時に麻薬依存症だった兵士たちが、帰国後ほとんど更生して社会復帰できたのはなぜか?
会社や人生に持続する変化を起こすのが難しい。その原因はわたしたちの脳の中にある。「象使い(理性)」と「象(感情)」の支配権争いだ。象使いがスリムな体形を欲していても、象はがケーキに飛びついてしまう。頭のいい象使いが変化を求めても、象はいまの手順が大好きなのだ。だが、象と象使いの性格を研究していくうちに、ちょっと工夫するだけで、変化は驚くほど簡単なものになることがわかる。 本書では、大きな権限や強固な意志の持ち主ではない「ごく普通の人たち」が、会社や国を動かすような変化を生み出した例を豊富に挙げながら、それらに共通する「変化のしくみ」を明かしていく。
発売直後にニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルのベストセラー・リストで第1位を獲得。アメリカのビジネス界で大人気のハース兄弟による目からウロコの最新作。」
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「象使い(=理性)」の長所は先見性。長期的な目的のためであれば、短期的な犠牲も厭わない。賢い戦略も練れるし、目的地までの地図も読める。しかし、体力的に限界があり、曖昧さに直面すると硬直し、解決策を考えずに問題点ばかりをあげつらう。
「象(=感情)」の長所は、その正反対。目の前の欲求には大きなパワーで直進する。象使いの言うことを聞きたがらず、いつもケンカばかりしてしまう。
人を(または自分を)動かすには、この両者を納得させる方法を見つけ出さなければいけません。これは複雑なようで意外とシンプル。本書で紹介されたことと、私が読みながら考えていたことを絡めてメモしておきます。
●理性を無駄に働かさないように、出来ない原因分析よりも、上手くいっている人のやり方に目を向けること(ブライト・スポット)
●選択肢を増やしすぎない。「次の大事な一歩」だけを示すことが重要。貧乏な村の再生には、シンプルに「地元でお金を使おう」でいい
●組織の無駄遣いをアピールしようと思ったら、スプレッドシートに大きな赤い数字を書くよりも、実際に無駄の象徴を見せる方が効果的。「炭酸飲料を飲むな」では感情は納得しないが、「炭酸飲料にはこれだけの角砂糖が含まれています」であれば腑に落ちる。
●「変化を細かくする」ことの重要性。目標までの道のりを細分化して、第一歩目をいかに軽く踏み出せるか。その一歩目は「自動車を修理する」ではなく、「修理店へ電話をかける」と具体的に。
●お店がポイントカードを作るのであれば、スタンプ8個で満タンになる用紙をただ渡すのではなく、10個で満タンになる用紙に最初から2個押した状態で渡す。最初の一歩をこれから踏み出すのはヘビーでも、すでに一歩を踏み出した状態なら続けやすい。
などなど。付箋を貼る場所が多すぎて、まとまらない感じになっていますが、興味深い研究結果と、ユニークなアプローチ事例が多数紹介されています。
ちなみに、私はこの本を読みながら、「地元・奈良に興味を持ってもらう方法」を考えていました。詳しくは明かしませんが、地元の奈良県民の皆さんに無理やりにでも「奈良が好き」と言わせてしまうことから始めるべきなのかと思いました(一度そういう立場を表明すると、どんどん好きになっていくそうです)。そんなことを突き詰めて考えるためにも、この本は再読しておきたいですね。
サブタイトルのように『「変われない」を変える方法』が見つかるかもしれませんので、興味のある方はぜひ!