能面の世界 (コロナ・ブックス)
分かりづらい「能面」の世界をビジュアルで。無表情なんてとんでもない!美しく怪しげです
とっつきづらい印象のある伝統芸能「能」。その舞台で使用される「能面」について、ビジュアル中心で見せてくれる一冊。私のような門外漢には詳しいところまでは理解できないにしろ、その秘められた美しさと、種類の豊富さは十分に伝わりました。現在では「能面のようだ」という言葉は、無表情なことの例えになっていますが、とんでもないですねw
説明文:「能の美学が凝縮されている能面。男面、女面、鬼面など代表的な面をふんだんに取り上げ、表情の意味や魅力を詳説する。狂言面も併せて掲載。ロングセラー『能百十番』の姉妹編。」
能面の種類を挙げていくと、翁面・尉面・女面・男面・鬼面・仏面となります。例えば、女面はさらに、老け役・老女・痩せた顔・山姥・歯に金泥が塗られたもの・変身しかかったものなどがあるのだとか。本当に様々なタイプの面が作られていることが分かります。それぞれに使用する話と役柄がほぼ決まっているため、同じ面を使いまわすこともありますが、それに相応しいものが新たに作られていったことが多いのだそうです。
本書では、前半は1ページに面を1つずつ紹介しているため、画像も大きめで見やすいですね。平面に印刷された姿すらとても表情豊かですが、舞台では微妙に角度を変え、さまざまな表情を魅せるのですから、すごいですね。おそらく、顔の角度を少し上下させただけでも、表情はがらりと変わるのでしょうし、それができる面がいいものと称されるようです。
後半には「女面の見分け方」などのコーナーもあります。生え際のちょっと髪の掻き方の違いで、その面がどう分類されるのか判別するのだとか。例えば、代表的な小面は「頭頂部分け目から平行に三本、頬にかけて緩やかに太くなる」、孫次郎では「分け目から二本、方の付近から三本になり、紐穴付近から四本に」など、素人にはとてもついていけないディープな世界になっています!
私は「かっこいいな」「美しいな」くらいしか言えないレベルですが、それでも十分に楽しめました。説明では「能百十番 (コロナ・ブックス)」の姉妹編とありましたので、いつかこちらも探してみたいと思います。