2013-05-20

和箪笥 (NHK美の壺)

伝統的な「和箪笥(わだんす)」について、美しい画像とシンプルな解説で読ませる入門書

美しい「和箪笥(わだんす)」の魅力を伝える一冊。NHKの人気番組「美の壺」(30分番組)の放送内容をまとめたものなので、コンパクトに読みやすくまとまっています。深みは物足りない感はありますが、和箪笥の世界への入口には最適ですね。


説明文:「本日は、当「美術鑑賞ツアー」にようこそ。お乗りいただくのは、「和箪笥」の美を紹介する特別列車。その歴史から、意外な魅力の在りか、とっておきの最新情報まで、それぞれのツボを備えた駅に停車していきます。駅舎の隅にたたずむ、飾らないけれど清々しい「美」。流れる風景にひそむ、奥ゆかしいけれど凛々しい「美」。思いがけない発見が旅を彩り、「美」を見つける楽しさがあなたの心に刻まれていく…。シリーズ「美の壺」は、新しいアート鑑賞マニュアルです。」


●壱のツボ 「抽斗(ひきだし)前板」の表情を、見よ
●弐のツボ 粋を凝らした錺(かざり)を愛でよ
●参のツボ 船箪笥に隠しあり 仕掛けあり

和箪笥を鑑賞するポイントが分かりやすくまとまっています。私のような素人は、どうしても金具類の美しさや面白さに目が行きがちですが、どのような板が、どのような木目で使われているのかを見ると、その箪笥の価値が分かるのだとか。最高のものされるのは、樹齢400年を超える樹からしかとれない「玉杢(たまもく)」という文様が見えるもの。自然と渦巻くような木目が浮かび上がっていて、確かにとても美しいですね。

さらに、取っ手や金具の拡大画像も多数掲載されているのも見ていて楽しいですし、日本海を走った北前船で使用された「船箪笥」の解説も面白いですね。ずっと舟に積んでおく金庫代わりの箪笥だけに、浸水にも強く(水に濡れたら木が膨張してそれ以上の浸水を防ぐのだとか)、隠れた引き出しが設けられたりしていて、そのギミックが楽しいですね。

本の内容としてはあっさりしていますので、この本で美しい画像と簡単な解説を読んで、興味が持てたらさらにディープな本を探す、という使い方がいいでしょう。「美の壺」シリーズはページ数も少なめでササッと読み終えられますので、気分転換にもいいですよ!


『<$MTEntryTitle$>』より

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