よくわかる日本建築の見方 (楽学ブックス)
寺院・神社。住宅・城郭。ややこしい日本建築を図と画像で分かりやすく解説した一冊
マニアックなテーマを分かりやすく教えれくれる「楽学ブックス」シリーズ。寺院・神社。住宅・城郭と網羅した、この日本建築の回も、分かりやすくて図と画像を用いてあり、面白く読めました。建物の特徴を知るだけではなく、これを現地へ持って行ってガイドブックとして使用したくなるような内容ですね。
説明文:「古寺めぐりや古都散策に必携の古建築入門。寺社別や時代別の分類ではなく、建物の用途と様式別に、寺院・神社・城郭・住宅といった日本建築を、現存する代表的な建築を例に紹介。構造や特徴、時代ごとの様式の変化や建築用語を、豊富なビジュアルとともに解説している。問合せ先や交通アクセスなど、各建築を訪れる際に便利な情報も掲載した。」
個人的に一番好きなのは、第1章の「寺院建築」ですが、法隆寺金堂(飛鳥様式)、浄瑠璃寺本堂(和様)、浄土寺浄土堂(大仏様)、功山寺仏殿(禅宗様)、鶴林寺本堂(折衷様)などを例に、時代ごとの特徴がはっきりと指摘されているのがいいですね。
木鼻・虹梁・蟇股など、見て面白いパーツ類も簡単に指摘してくれていますし。組物の特徴、それぞれの見分け方なども分かります。最初はパーツの名前が分からないのはもちろんですし、そのちょっとした違いに気づくようになるまでが大変なんですが、この本はかなり分かりやすい部類でしょう。
第2章「神社建築」については、伊勢神宮正殿(神明造)、出雲大社本殿(大社造)、上賀茂神社本殿(流造)などの定番的な内容です。第3章「住宅建築」では、町家が紹介されていたり、窓と建具の分類があったり。第4章の「城郭」のコーナーもありますが、これはややページ数が不足気味で物足りない印象でした。
とりあえず、ややこしい単語はたくさん出てきますが、ほとんど図や写真入りで解説されていますし、「お寺も神社もお屋敷も周りたいけど、まだ良くわからない!」という方のガイドブックにはちょうどいいでしょう。見比べて行くと古建築は本当に面白いですから、ぜひそんな世界に足を踏み入れてください!