2013-03-11
日本の音 (コロナ・ブックス)
雨の音、雪の声、蛙の声。日本の「音」にまつわる言葉や絵画を横断してまとめた一冊
風や雨、雪などの「音」を柱として、それぞれにまつわる言葉・文章・絵画などから日本人の暮らしを見せた一冊。日本には色んな音があり、それを表現する言葉があり、それを感じさせる芸術があります。こういった切り口で見直すのも面白いですね。
説明文:「季節の始まりを知らせる“春雨の音”、雨の恵みを喜ぶ“蛙の声”、夏の夕立“驟雨の音”、波音を枕に聞く“さざ波の音色”、静寂を深める“虫の声”、冬の訪れを告げる“凩の音”…四季の移り変わりを音で知り、音に生きる日本人の暮らし。」
本書で取り上げられているのは、「自然の音」(雨の音、雷鳴、雪の声など)、「鳥獣の声」(動物の鳴き声、鹿の遠音、蛙の声など)、「歴史と生活の音」(鬨の声、矢音など)、「年中行事の音」(花火の音、賀茂競馬、盆踊りなど)このような音たちです。
例えば、「雨の音」の項目では、多雨の国・日本らしく、このような雨が紹介されています。
●雨を表現する言葉「木の芽おこし」「桜ながし」「鬼あらい」「時知る雨」など
●「春雨の こしたにつたふ 清水哉」(芭蕉)
●歌川広重・横山大観・小林古径・川合玉堂などの雨を題材にした絵画作品
各種の芸術を「音」という切り口で見ていくと、色んな発見がありますね。また、不勉強な私がまだ知らない近代画家の作品(村上華岳・宇田萩邨・富田渓仙など)が多数見られるのも面白いです。こういった編集の本ならではの楽しみでしょう。堅苦しいこともなく気軽に楽しめる一冊でした。