神道の美術 (コロナ・ブックス)
神道の絵画・神像・建物・祭具など。日本人が描いた神様の姿を平易に見せる一冊
日本古来の「神」たちの姿、それを祀る人間たちが作った物など、画像を中心に神道の美術について紹介する一冊。ここで扱っているのは、神像・絵画・社殿・神宝・祭具・祭り・神饌など。分かりやすくいうと、神社の周辺にあるものすべてを平易に見せてくれます。
説明文:「神仏習合により日本の神にはかたちが与えられた。神そのものを表わした絵画や彫刻を筆頭に平易に解説、日本人の捉えた神の姿に迫る。」
これと内容の近いものとしては、『すぐわかる日本の神像―あらわれた神々のすがたを読み解く』や『神像の美―すがたなきものの、かたち。 (別冊太陽)』などを読んでいますが、本書では建築物や祭具(神前に供える神鏡や三方など)などについても、美しい画像を用いて解説しているのがいいですね。個人的には、神像や絵画はもちろんですが、神社周りにあるものすべてに興味がありますから、こうした切り口はとても楽しめました。
この本で面白かったものを挙げておきます。
●木花開耶姫命立像(富士吉田市歴史民俗博物館)。金箔をはった木製の富士山の上に、タマネギ型のガラスケースがあり、その中に吉祥天風の女神コノハナサクヤヒメの姿が。ガラスケース入りというのが面白い!江戸時代のものだそうです。
●春日神鹿御正体(細身美術館)。鹿島の祭神が大和の春日へ影向した姿を表した、銅製の鋳造像。鎌倉時代~南北朝時代の作。背中から榊を生やしている鹿のお姿は絵画では数多く観られますが、金工品としても残っているんですね!
●長床(新宮熊野神社)。福島県の神社の建築物。44本の太い柱が用いられた高床式の拝殿。安土桃山時代の茅葺寄棟造。床下が2メートル近くも持ち上がっていて、人も立ち入れるようです
●金銅高機(宗像大社)。金銅製の機織り機のミニチュア。「海の正倉院」と呼ばれる、福岡県の離島・沖ノ島の古代祭祀遺跡から出土したもの。ミニマムな模型を神に捧げるという発想がすごいですね
もっと色いろあるんですが、この辺で。解説文は手短になっていますので、詳しく知る目的というよりは、ざっと概略するのに向いていますね。見ているだけでも楽しいですから、神社によくお参りに行く方などは、一度読んでみるといいですね。