スローな未来へ~「小さな町づくり」が暮らしを変える~
“ないものねだり”から“あるもの探し”へ。スローな町づくりの事例が紹介されます
日本の10の元気な地域と、イタリアの2都市をレポートし、本当の暮らしやすさを問い直した一冊。週刊ポストの連載記事に加筆修正したもので、2009年に発売されました。
登場するのは、地場の食材に注目して産業を生み出している町、古い町並みを守り通して観光資源にした町、徹底的にエコロジカルな生活を実現した町、若者たちが住みたくなるような環境づくりに成功した町など。町づくりや地方活性化など、単純な言葉ではくくれない事例が紹介されています。
説明文:「古くからの景観や伝統食を守り、若者を引き込み、エコによる町づくりや地産地消などを実践し、「持続可能なゆったりとした時間と人間サイズの町づくり」に奮闘する全国10地域とイタリア現地取材の渾身レポート!
日本10地域とイタリア現地取材渾身レポート。“ないものねだり”から“あるもの探し”へ。自分たちの町は自分たちで創る。自分たちの暮らしは自分たちで守る。―ここには、日本の地方都市の未来に関わるヒントが込められている。」
プチ東京を目指して疲弊した地方都市を活性化するにはどうすればいいのか。簡単に結論が出るような命題ではありませんが、本書に登場する「“ないものねだり”から“あるもの探し”へ。」という言葉は重みが感じられます。これまで「発展」としてとらえられてきたことに背を向けて、別のスローな価値観を持つことが重要になるのでしょう。
もちろん、しっかりと正しい目標を定めて、住民が同じ方向を向いて動くことが必要です。それと同時に経済的にも自立しなくてはいけませんし、決して簡単なことではないでしょう。しかし、どんな町にも突破口はあるはずです。
それが有機野菜だったり、ちょっとした古い町並みだったり、人気のない海辺だったりと、町によって、目指していく方向性によって違ってくると思いますが、もっとも重要なのは「住んでいる人たちが元気になれるかどうか」でしょう。身の丈にあった小さな経済を無理せず回していけるような仕組みを整えるのが重要なんだと思います。
とはいえ、小さな輪の中だけでは、若い人たちには魅力を感じてもらえない可能性もありますから、難しいところなんでしょうね。
…と、町づくりについていろんなことを考えさせられる一冊でした。成功事例と思われる町の中心人物に対して丁寧に取材していますので、興味のある方はぜひ。