2013-02-11

よみがえる万葉人 (文春文庫)

長屋王・元明天皇・橘諸兄など、歴史上の人物ごとに万葉歌を見ていく面白い一冊です

日本の古典に関しての著作も多い作家・永井路子さん(Wikipedia)による、万葉の歌を詠んだ作者にスポットライトを当てた評論です。1993年の発売とかなり古い本ですが(単行本は1990年発売)、とても読みやすくて面白かったです!万葉集の歌を作者別に見ていく試みは、これまでにも何度もなされていると思いますが、本書は難易度も適度で、私のレベルにちょうど良かったですね。


説明文:「万葉集に登場するさまざまな人々、恋に敗れた草壁皇子、紫の謎めく女人(額田王)、大忠臣の恋愛讃歌(藤原鎌足)、静寂の人(山部赤人)、天平の風見鶏(大伴家持)、話題の人(長屋王)、恋の女王(但馬皇女)などなど「肩書や表向きの衣装を脱ぎすてた素顔をスケッチ」してその生きざまをあざやかに描いた興味あふれる天平時代の人物群像。」


本書は、万葉の歌の作者にスポットライトを当てて、その作品を解説していきます。有名な歌人である大伴家持や山部赤人、柿本人麻呂、山上憶良などにももちろん触れていきますが、本書が面白いのはそういった部分ではありません。歴史書に名前を残している人物で、「万葉集にも何首か収められている」という人物について、その歴史的な業績や評判などとともに、詠まれた歌を紹介しているところが面白いんですね。

例えば、天智天皇・藤原釜足・有間皇子・大津皇子あたりは当然としても、聖武天皇・光明皇后・長屋王・元正天皇・元明天皇・橘諸兄・道祖王・山背王・安宿王など、古代史上の重要人物でありながらも、あまり歌が取り上げられることの少ない方たちに関してもページを割いてあるのがいいですね。また、個人的にも好きな大伴氏の一族や、志貴皇子の一族などにも触れられているのも嬉しかったです。

こういった人物がズラズラと登場してきますので、天平時代前後の歴史の知識がないと、それが誰なのかすら分からないかもしれません。しかし、少し基礎知識のある方であれば、古代史上の人物を違ったアングルから見られますから、きっと楽しめると思います。

なお、この文庫本はAmazonでも新刊は扱っていませんが、中古本が送料を含めて300円程度で手に入りますので、気になった方はどうぞ。同じ永井さんの万葉集関連本はこの他にも何冊かあるようですので、そちらも合わせて探してみたいと思います。


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