2012-10-13
伝統工芸 東北のこけし
東北のこけしの画像をずらりと並べた圧巻の写真集。不思議な温かみと魅力があります
平成20年に出版された、東北のこけしの写真集。最近はちょっとした「こけしブーム」のようですが、私はほぼ何の知識もありません。図書館でこの写真集が目に入ったので、気軽に借りてみましたが、なかなか面白いですね。同じようにみえるこけしたちも、ちゃんと系統があって、見比べてみると違いが分かります。
本書は、こけし収集家のコレクションの中から、主に戦後に作られたものを掲載しています。全部で182ページあり、140ページほどは純粋に写真のみ、巻末にはこけし作家さんのリストまで掲載されています(ただし、この本の出版後に東北を大震災が襲いましたので、数年前のリストながら現状はどうなっているのか想像もつきません)。
冒頭に簡単にこけしの歴史や分類などに触れられていますが、その内容はあっさりしたものです。他の参考書類の名前も挙げられていましたから、より詳しく知りたい方はそちらも合わせて読むといいでしょう。
分類の中身を見ると、福島県土湯温泉を中心とした「土湯系」、宮城県遠刈田温泉を中心とした「遠刈田系」、宮城県白石市の部落名からとった「弥治郎系」、有名な宮城県の鳴子温泉で作られる「鳴子系」など、様々な分類があるようです。その中で、さらにどこのお土産物屋さんで販売されているのかなどの小分類があります。
素人目には、系統だった違いは分かりませんが、顔立ちからボディー部分の形状まで、色んな違いがあるんですね。現在の可愛いからはかけ離れた表情のものなども見つかり、ちょっと笑ってしまうほどです。それなりにお値段も張る写真集ですから、まずは図書館などで探してみるといいでしょう。今なぜこけしがブームになっているのか、少しだけ分かるような気がしますよ。