
その科学が成功を決める
「『自己啓発』はあなたを不幸にする」など心理学から一般常識の誤解を解いていく良書
世間一般で常識として通っている出来事を、心理学の実験データを豊富に引用し、その誤解を指摘していく一冊。豊富なデータに裏付けされているだけに、どれも説得力があって面白かったですね。
個人的には、自己啓発本やライフハック本・脳科学の本などは「時間とお金の無駄」と思っているので、普段は全く読みません。しかし、つい先日、某まとめサイトでオススメ本として紹介されていたため、図書館で探して読んでみました。
本書は10章で構成されていて、自己啓発・就職面接・イメージトレーニング・婚活・ストレス解消法・離婚・創造力向上ノウハウ・ほめる教育・心理テストなどについて、常識の間違いを指摘していきます。
第一章は「『自己啓発』はあなたを不幸にする」というタイトルで、マイナス思考を抑制しようとするとかえってその考えが頭から離れなくなる、人間の幸福感の約50%は遺伝で決まっているなど、過去の研究データから驚くような事実を明かしていきます。一般に「プラス思考は幸せをもたらす」と信じられていますが、それも使い方次第では毒にしかならないんですね。人間の思考回路は決して合理的なことばかりではありません。だからこそ、精神論や思い込みではなく、科学的にその動きを把握することが重要なのでしょう。
この他、簡単に面白かった項目を挙げてみます。
●面接では、弱点を最初にさらけ出した方が好感度はアップする
●プラス思考の実践者は、恋愛でもダイエットでも失敗する確率が高かった
●モダンアートを見るだけで創造力は引き出せる
●ハードルを高くして「いい女」を装う術は、何の効果もなかった
●不愉快な体験のプラス面を書き出すと怒りは収まる
●人間は「したこと」よりも「しなかったこと」を後悔する
●褒められて育った子は、失敗を極度に恐れるようになる
本書では、実験データが多数掲載されていますが、決して難しいものではありません。300ページ近くありますが、読みやすくてスイスイと楽しく読めました。また、途中に心理学に基づいた診断ができるチェックシートなども掲載されているのもいいですね。他の本との比較はできませんが、読んでみて損はない内容でした。
最後に。ダイエットしたかったら「キッチンに鏡を置く」「普段やっている家事労働などの消費カロリーを把握する」というところから始めるといいらしいですよ!