酷道を走る
まともに整備されていない国道=「酷道」。酷道マニアさんによる11本の踏破レポ
本書は、2009に発売された酷道マニアによる酷道踏破の記録。この「酷道」とは、まともな整備がなされていない国道のこと。筆者は、海なし県の岐阜県在住で、「TEAM酷道」の運営者さんです。
一般的に、国道は国によってしっかり整備されていて走りやすい道である、というイメージがありますが、一部の山間部ではそれは当てはまりません。対向車とすれ違うこともできないような細い峠道だったり、舗装すらされていないダート道だったり、ガードレールも無かったり、路肩が崩れていたり、通行車両の数が少ないので落ち葉が厚く積もっていたり、県道よりも明らかに整備状況の悪い国道はいくつも見つかります。山道を車で走っていて、命の危険すら感じるような道も少なくありません。
筆者は、そんな酷道を好き好んで走りたがるマニアさんです。運転免許を取り立てでの初ドライブが、何も知らずに足を踏み入れた、岐阜市から金沢市へ抜ける国道157号線。しかも、車の知識もないので、いきなりレンタカーで高級セダンのシーマを借りるという無謀ぶりです。運転技術も未熟で命からがら完走したのですが、後に酷道マニアになっていくんですから不思議なものですよね。
本書では、中部エリアの酷道を中心に、11本の酷道踏破のレポートが掲載されています。酷道を走るためだけに、四国の193号線・439号線、九州の388号線・265号線などへも遠征するんですから、本格的ですね。
実走レポは緊迫感が伝わってきて楽しいものですが、写真などが少なめで、やや迫力にかける感はありました。廃墟や廃道・酷道といったカテゴリーは数多く書籍化されていますが、やはりテキストではその魅力が伝わりづらいものです。まずは筆者のホームページなどを見て、その後に本書を手に取ると分かりやすいでしょう。