2012-07-07

古事記 (別冊太陽 日本のこころ 194)

別冊太陽の古事記特集。やや難易度高めで中級者以上の方にオススメ

『古事記』編纂1300年に合わせて登場した、別冊太陽の古事記特集号。奈良県立図書情報館館長の千田稔さんが監修しています。このシリーズらしく、誌面を贅沢に使った美しいビジュアルが印象的です。

商品紹介には「古代の人々がつくった世界をイメージたっぷりの写真と平易な解説で紹介する入門書」とありましたが、硬派な作りで難易度は高め。古事記のストーリーを順に追っていますが、予備知識がない方が最初にこの本を手にとったとしても、ほぼ理解できないかもしれません。大まかにでも話の流れや登場人物を把握してから読むと、読み応えはありますね。

本書では、ストーリーの説明部分も強弱があって、重要と思われる部分が軽めにスルーしてあったかと思ったら、妙に細かい描写が残されていたり、その塩梅も面白かったです。例えば、海神の宮へ釣り針を探しに行った火遠理命(ホオリ。山幸彦)は歓迎され、「アシカの皮の敷物と絹の敷物を八重に重ねた上に座らせてもてなし」というような表現があります。アシカの皮だったんだと驚くような発見もありますが、その後の海幸彦を懲らしめるシーンなどはサッと終わらせるなど、かなりメリハリが効いている印象でした。

また、千田さんによる「序文に探る『古事記』誕生の真相」「伊耶那岐命 伊邪那美神 神話の原郷」など、古事記の世界の学術的な研究成果をまとめたコラムも読みやすくて良かったです。読み手の世界観を広げてくれます。その他の方の「古事記における伊勢神宮」「英雄の物語と歌謡」「姿を見せない神-三輪山の大物主神」などの読み物もいいですすし、ゲストの詩人の伊藤比呂美さん、古典エッセイストの大塚ひかりさん(テーマは「古事記の性とうんこ」です!)らのエッセイも楽しく読めました。

古事記の記述を荒唐無稽な作り話として批判的に見ていない点も好感が持てます。全くの初心者の方にはやや難しいと思いますが、古事記関連本の2~3冊目あたりに読んでみるといいでしょう。


『<$MTEntryTitle$>』より

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